んー、長い。長くなったので分割します。
この話はもう1回続きます。

マシューズ・ベストヒットTVという深夜番組が昔ありました。
https://www.excite.co.jp/News/90s/20160624/E1465969147527.html




高校だか大学だか忘れましたが、その時に見ていた記憶の話です。
テレビ朝日の新入社員とマシュー南(藤井隆)が話すというくだりがあり、


藤井隆「今後どんな事をしていきたいと思ってるんですか?」
新入社員A「失敗を恐れずに挑戦して、むしろ沢山失敗しようかなと思います。」
藤井隆「あなたたちはお客様からお金をもらってプロとして仕事を請け負っているんです!失敗なんぞ許されると思ってるんですか!!だったら失敗してから仕事しにこい!!」
という話。そしてみんなで爆笑するっていう。


これを見て、ふと「そうか。プロフェッショナルとはこういう事か」というのを心に刻んだことがあります。


「自分たちはお金をもらう仕事をしている」というのは、私が常々忘れない様にしている事です。
なので、若手の人たちに「お金もらっているプロの仕事としては、まだレベルが低い。こことあそこを直してくれ。」なんてことを言ってしまう事もあります。
これはこれで、よくない言い方だなぁと反省するところもあるんですが。


アメリカに来てみると、この意識って意外と日本の方が強いんじゃないかと思うことがあります。ちょっと話の軸は違うんですが、「俺はこれだけやってるから、年収をこれだけ上げてくれ」という頻度はアメリカのほうが多いように見えます。
日本で見てみると、同じような交渉の少なさが逆に問題にも思えます。


ここでいうプロフェッショナルという意識は、「請け負ったものを投げ出さない」という事だったり、「最後までやり通す」という事です。
アメリカでは、要求が自分にとって過大であった場合、平気でその仕事を蹴ります。これは私の契約したスコープに入っていません。とか、ここまでの時間働くとか聞いてないんで。っていうことはよくあります。アメリカもアメリカで、健全な事をしていると思います。
ですが、日本の逆ですね。お客さんに言われたので粉骨砕身してより良いものを作り出すのが日本の美意識で、途中で諦めないというのもそうです。


ある種ブラック企業という話は、この精神のダークサイドにあるじゃないかと思っています。







これは、私の例です。

 

 

 

 

 

私が今の会社に入る前、別の会社での話です。

そこで働いていた月平均残業量はおよそ150時間から250時間でした。
100時間を切ったことはなかったと思います。
人によっては、350時間に到達する人もいたと思います。
ただし私はこの会社をブラック企業だとは思っていませんし、おそらくこの会社のOBでこの会社をブラック企業だと悪く言う人も思ったより少ないと思います。
諦めない、這いつくばってでも金額に見合った成果を出す。そのプロ意識をその当時のほぼ全員が持っていたと思います。


私はこの会社で沢山失敗しながら、たくさんの事を学びました。この期間のことを今でも後悔したことはありません。今も仕事をしながら、一緒に働いていた人たちを思い出し、あの時のあの人だったら、今の自分をみて何を言ってくるだろうと、想像しています。
以前この会社のOBで話をしていた時に、
「多分後にも先にも、あの会社で働いた時ほど、優秀な人材に囲まれて仕事をすることは無いと思う。」
という話をしていました。私も同じ思いでいます。


私がいたこの会社は当時急激に売り上げを上げていました。
この会社の採用が決まったとき、まさか自分がこの会社に入れるなんてと思いました。採用担当から話を聞くと、年間数千人の履歴書を見ていますが、あなたが今年5人目ですと言われました。

 

 

その前の会社の人からは、「もうお前は勝ち組だなー」とも言われて、私自身も天狗になっていたところはあると思います。少々の業務量は関係なく、トップに上り詰めるためにここに来たという意識で入社しました。
 

 

 

 

そして数年で辞めるわけですけど。
 

 

 

 

私が辞めたちょっと後に、この企業も人数を増やして落ち着いていると元同僚の人から聞いています。業務量も昔と比べると考えられないぐらい減ったそうです。


実際仕事をしていた自分なのでよくわかります。

この業務量は確実にプライベートと睡眠時間を諸共削っていきます。
 

クリスマスイブに仕事をしていて、奥さんから「ねえ、いつまでこの生活が続くの?」と言われた人、
 

元旦に弟と鍋を食べながら、仕事をしていた人(これは私)
 

カウントダウンライブに行って電話が鳴ったので、パソコン開いてそこで仕事した人、
 

過労で倒れて点滴を打ってすぐに戻ってきた人、
 

咳が止まらない人、
 

長期休暇を取る人、
 

おおよそ血迷った話です。
 

 

私が知っている身の回りで沢山の人が体調を崩しました。
私が知っている身の回りで沢山の人が辞めていきました。
早い人は入って3週間で辞めました。判断が速い 笑


この会社で辞める判断をしたとき、へとへとになりながら、私が考えていたことは、まさに前述した「自分がやりたい事」で「自分ができる事」で「金になる事」という話です。自分もできる事が急激に増えてきていた時でしたし、売り上げも増えていたのできっと収入も今より増えていたと思います。


入った当初は憧れていたたくさんの先輩たちが、その裏でどのぐらいの苦労と周りの犠牲のもとに、その成果を成り立たせていたかを知ることができました。

 

また、その時私の実家の父が体調を崩しました。母が相当うろたえていました。
こういう人たちの事を考える余裕が当時の私には全く持てなかった。むしろなぜ自分が仕事をする邪魔をするのかと思ってしまっていました。

 

そう思った後、自分に嫌悪感が湧きました。恐らくこの仕事をずっと続ける限り、周りを全く気にせずに仕事をしていくんじゃないかと思うようになりました。
 

これ、やりたい事じゃない。と思うようになった理由の一つです。


 

今となってはもう少しうまいやり方、立ち回り方もあったと思うし、残ってもっとその会社でやりたいこともありました。
 

 

ですが、その時私が下した判断は、
「自分のやりたい事」はいったん無視しよう。「できる事」と「金になる事」に集中ししよう。確実に時間を抑える働き方ができる会社に入って、できるだけ効率的に働いて、その浮いた時間でもっかい自分のやりたい事は何なのかを考えよう。

必要な人に必要な時間を傾けるようにしよう。だから仕事はくっそつまんない仕事で良い。
という判断をして今の会社に来ました。(今の会社のひとごめんなさい)



 

 

そして新しい会社で働きながら、後々起業するためのネタとして、個人づてで拾ってきた仕事をしてたりした時期もありました。プロジェクトを1個こなしては終わって、以降続かずというのを何件か。その時期も、結構楽しくはあったんですが、継続して成功するための起業というのは、たくさんの経験とちゃんとした計画が必要なんだなと学びました。


また、予想外なことで、今働いているこの会社、案外面白い。

というのもありました。
 

仕事の内容だったり、そこで働く人だったり。
そして、思ったよりこの会社での仕事に時間をかけている今日この頃です。

 

数年で辞めるはずだった、最初くっそつまんないと思って入った会社を、私の友人からすぐやめるでしょと思われていた私が、今ここで働き続けている理由でもあります。


次回の記事では、この自分の経験から、ブラック企業と職業選択について思う結論めいたものを書いていこうと思います。