#111 ギルギット | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 キヨが再びトレッキングへと山に戻った後も、僕はこのギルギットの町にしばらく滞在した。

宿のレセプションに、外国人旅行者向けにか 「 乗馬 」 の張り紙がしてあった。

もちろん外国人向けのなかなかの料金である。

とりあえず、場所だけを訊いてそのダニョールという村へと行ってみた。

移動手段は スズキ と呼ばれる乗り合いバスである。

要するにスズキのピックアップの荷台にすし詰めで乗る訳だ。


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 今日はポロの試合があっていて、馬が出払っている と言われてしまった。

せっかくなのでそのポロを見物したが、これがなかなか面白そうな競技であった。

想像していたよりもずっと狭苦しいコートで、人馬がごちゃごちゃとプレーしているような感じである。

あれはかなりの乗馬技術が必要だな。

僕は、走らせて止まるのがやっとである。


 翌日再び村を訪れ、このポロの馬に乗った。

オヤジたちは僕の乗馬ブーツに興味津々で、


お前はどこで乗馬を習ったんだ? 


と訊いてくるので、モンゴルだ と大威張りで答え、一緒に村の小道を馬で走った。


 ところが内心はヒヤヒヤものであった。

モンゴルの馬は背が低くぼってりと太っていて、なんというか軽トラックを運転するような感じなのだが、今日のは長身でスタイルもよく、かかとでちょいと横腹を蹴って合図をするとすさまじい勢いで駆け出すのである。

道の脇の集落の子供たちが歓声を上げ、馬にはねられない様に土塀にへばりつく中を疾走し、いい気分だった。

今度はポロを教えてやる、というオヤジに別れを告げ、ギルギットの町へと帰った。


 さて、ビザの期限がさすがにヤバくなってきていた。