#73 鳴沙山 | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 東西約40km、南北約20kmの巨大な砂の山。
 
 敦煌滞在中、ほとんど毎日のように自転車を借りてこの砂山を観にいった。
特に夕暮れ時の景色は素晴らしく、まさに幼い頃から思い描いていた砂漠がココロユクマデ堪能できる。
たしか観光用の駱駝にも乗れたような気がする ( 乗らなかったけど )。

 満月の日の夕暮れに、この砂山に頂上まで登ってみた。
聞こえるのは風の音と自分の足が踏みしめる砂の音だけで、視界の360°に砂の世界が広がる様子は筆舌に尽し難い迫力である。
頂上までは1時間ほどでたどり着いた。
足下には小さな敦煌の町の緑が広がり、その先には限りない広さのゴロゴロ砂漠がどこまでも続いている。

 西の空が赤く染まり太陽が沈みゆく頃、東の砂山からはこれも赤い満月が顔を出した。

 月は東に 日は西に

・・・あれは海をうたった歌であったか。

太陽も月も、実はかなりのスピードで僕のまわりをまわっているのだとあらためて気が付いた。

 時はグングン過ぎてゆく。

砂時計の底に腰を下ろし、ぽかんと口を開け首をぐるぐる回して夕日とお月さまを同時に見ようとする間抜けな僕の時間も、また。

 砂山で僕はものすごく幸福な時間を過ごした。
旅に出て本当によかったと思える景色であった。

 そして、これから僕はどこに向かおうとしているのだろう、と、4ヶ月目を迎えた旅に初めて不安を感じ始めたのも、この場所だったように思う。