#79 コルラ | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 敦煌あたりから僕と前後しつつ同じルートを西に進んでいる、クロカワさんという日本人のオジサンがいた。

彼も次の町コルラに向かうらしく、一緒に宿を出た。

バスターミナルでは頼まれて彼の分の切符も一緒に買ったのだが、近頃さっぱり効き目のない贋留学生証が久々に通用した。

窓口のおばさんは、

 

 あんた外国人だったの!

 

と、僕が漢族でない事すら分からないようで、大いに気をよくした。

 

…今や旅の気分を失っているのか、漢族と間違われて何が嬉しいのかその感覚がよく解らなくなってしまっているのだが、まあ日記には大いに気を良くしたと確かに書いてある。

 

 バスの車内はウイグル一色で、ウイグル族でないのは僕ら二人と漢族らしいおじさんひとりだけであった。

この日の車窓はオアシスから草原へ、そして険しい岩山へと目まぐるしく変化した。

そしてその度に、僕の前の座席に座っている中学生くらいの年の男の子が後ろを振り向き、

 

 ほら、見てみろよ

 

と、なんだか自慢げに風景のガイドらしき事をしてくれる。

バスの調子が悪く、なかなか速度の上がらない道中であったが、隣のクロカワさんとは日本語の会話もできたし、いっこうに退屈せずに済んだ。

 

 到着したコルラの町は、豊かに水の流れる堂々としたオアシスであった。

ビルの立ち並ぶ結構な都会である。

この町は鉄道の終着駅でもあるようだ。

 

 バスターミナル横の交通旅社にチェックイン、3人部屋20元 ( 230円 )。

宿ではパキスタン人の姿が見られた。

上着の裾が膝まであるオウム服のような民族衣装を着た浅黒い顔の彼らは、ウイグル族ともまた違って妖しげないい雰囲気を出していた。

英語で軽く挨拶してみると、どうやら運び屋のような人達のようだった。

シルクロード交易未だ健在、といった感じである。

 

 クロカワさんと夜の街を歩き、屋台で羊でビールを痛飲し遅くまでお互いの旅を語った。