#61 さらばモンゴル高原 | かふぇ・あんちょび

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このカフェ、未だ現世には存在しません。

現在自家焙煎珈琲工房(ただの家の納屋ですけど…)を営む元バックパッカーが、

その実現化に向け、愛するネコの想い出と共に奔走中です。

 いよいよシベリア鉄道で北京に戻る。
ウランバートル駅でウロウロするのだが、情けない事にどうやってホームに出るのかが分からない。

 待合室でぼんやり座っていたおっさんに訊いてみると、どうやら朝からヘベレケ状態のようで、中国語で 「 あっちに行け 」 と、つれない返事である。

 あのー、日本人なんですけど…。

と告げるといきなり友好的になった。
結局このヘベレケおやじに連れられてホームへ。

 ホームで列車が入るのを待っている乗客たちの中には担ぎ屋の姐さんサラ、ナラの姿も見え、あら、日本のニイチャンじゃない!という感じで声をかけてくれた。

 同じコンパートメントの乗客は、トルコ系イギリス人だというハルクというバックパッカ―である。
彼は大学の人類学の研究者で、アジアのトルコ系民族のなんとかという勉強をしているらしい。
モンゴル族や、僕がこれから向かうシルクロードのウイグル族などの興味深い話が弾んだ。

 窓の外はモンゴルに入った時と同じく雨の草原であった。
あっという間に過ぎたモンゴル滞在であったが、草原で遊牧民のゲルに通い馬を走らせる日々はまさに夢のように素晴らしい経験だった。

 さて、名残も惜しいがまだまだ次の展開にも胸が膨らむ。
後にも何度も味わう国から国への移動であるが、感じるのはいつも、悲しいような嬉しいような、複雑でなんとも言えぬ感情である。
決して嫌いではなかったが、かといって慣れるということはなく、なんだか胸のあたりに風が吹くような落ち着かない気分だ。
流れる という事が少しわかり始めているのかもしれなかった。

 …さらば草原の国、モンゴル。