楽器・・・・鳴ってますか?
調整のご予約を頂く際や、修理の見積もりをする際に何か気になる点や不都合な点が無いか訊ねさせて頂く場合が有ります。
そんな時に良く耳にするお答えが「音は出ますし特に大きな不都合はありません」
本当でしょうか?
楽器の状態を正確に/冷静に判断するのは意外に難しい事です。
楽器のコンディション、リードやその他の条件、そして演奏者自身のコンディションなど関係する要素が多く基準となる要素が決めにくいからです。
どうも日本では「自分のせいにして道具のせいにしない」と言う美徳感みたいな事が有って多少の問題は奏者が頑張って克服する傾向が有ります。
では本当に問題は無いのか?
楽器の音が出ると言うのと楽器が鳴ると言うのは異なります。
ところがその違いを説明する的確な表現に困ったりしていたのですが、最近お客様に説明させて頂く際に使うのがスポーツ選手と道具の関係です。
靴底が磨り減ってへたってしまっていたり、スパイクが曲がったり抜けてしまったシューズでも「走れます」。
空気圧の低下したボールでも球技は出来ます。
しかし、正しいパフォーマンスは得られませんし当然記録も伸びません。
場合によっては身体に負担が掛かり、思わぬ怪我をしたりする事も有るでしょう。
「鳴ってない」楽器で「音を出す」と言うのはそう言う事なのです。
でも楽器演奏には記録の様な明確な評価基準が無いのでそれが分かりにくいのです。
これは演奏技術のレベルに関係なく共通の問題で、初心の学生さんでもプロでも同じです。
スポーツなら正しく身体に余計な負担が掛からない様に初心者にはそれに合った道具が必要になりますし、プロであれば自身のパフォーマンスを最大限に引き出し僅かでも記録の向上に繋がる道具に拘りを持って常に気を遣うでしょう。
楽器も音は出ても鳴らない状態では色々な問題が起きてきます。
音が繋がらない、音程が悪かったり安定しない、水が溜まりやすい等々です。
楽器の不都合を補う為にリードやマウスピースを不用意に変えてしまったり、奏法を楽器に合わせなければならなかったり・・・・
特にクラリネットやファゴットは楽器の問題を感じ難く、多少の不都合が有っても音が出てしまいまうので、つい自分のせいにして無理な音の出し方をしてしまいがちになります。
「オーボエは繊細で調整を頻繁にしないと・・・」みたいな事を言う方もいらっしゃいますが、これは間違いです。
オーボエ等はそう言った影響、音が出し難い等の症状が判り易いだけです。
皆様の楽器が「音が出る」状態ではなく「鳴る」状態でお使い頂ける様に心から願っております。
ご自分の楽器に関して少しでも不安や分からない事が有りましたらお気軽にご相談頂ければ幸いです。