「母さん。行ってきます。」



「祐介…また病院に行くの?」



「うん…」




「もう、止めなさい。行ったって会わせてもらえないんでしょ?」




「いいんだよ。会わせてもらえないのは当然だし、それに俺が勝手にしてることだから。」



「でも…」




「行ってきます。」


母親の言葉を遮り 祐介は家を出た。


祐介は ここ数ヶ月
毎日 登校前に病院に行き午後は授業終了のチャイムと同時に教室を出て病院に向かう
そんな生活を続けていた


病院に行く目的は彼女に会うため
でも決して病室には入らない



いや…入れない
朝は病院の外から病室の窓を見上げ
午後は 毎回 小さな花束を病室の前に置き病院を後にする


それの繰り返しだ。
祐介は今日も外から病室を見上げた。






「祐介くん?」




1人の女医さんが話しかけてきた。




宮田先生だ。宮田先生は彼女の…
亜依の担当医師だ。


スラッと身長が高く目鼻立ちのハッキリとした,ドラマに出てくる女医さんのような人だ。




「あっ!宮田先生。おはようございます。」




「おはよう。やっぱり今日も来てたのね」




「すいません。」



「あら?なんで謝るの?」




「だって迷惑だろうから…」




「まぁ…確かに、あなたのような若い男の子に毎朝、病院の前に立たれるとねぇ。年配の患者さんや女性の患者さんが怖がるのよねぇ」



宮田先生は首を傾げながら困ったように言った。



「すっすいません!」



祐介は 慌てて頭を下げた。



「フフっ。冗談よ。冗談。誰も怖がってなんかいないわよ(笑)」




宮田先生は頭を下げたままの祐介の肩をボンボンと叩いた。



「でもね。祐介くん。病院としてはね毎朝、こうやって外で立たれると迷惑なことは事実よ。今は苦情とかはないけどね。」



「すいません」
祐介は 未だに頭を下げたままだ。