昨年4月はたくさんの助産師が就職してくれました。学校を卒業したばかりの新卒助産師もたくさんいました。

 


 

彼女たちは院内のあるいは産婦人科のプログラムに沿ってたくさん学んできました。新人教育チームを中心にスタッフ全員で細やかに、熱心に、時には少し離れて見守って、育ててきました。


当然ですが1年生助産師たちはそれぞれ違います。
育ってきた環境も、学んだ環境も、どういう風に生きてきたのか、ガッツ、メンタル、性格、気質、違います。


だから、1年間でできるようになったことも違って当たり前。

 


育てる側が決めた目標があります。
1人で〇〇ができるようになる。

 


助産師でいえば?


1人で赤ちゃんのバイタルサインが測定でき正常と異常の判断ができる。
赤ちゃんの沐浴ができ、その方法をお伝えする事ができる。
分娩の介助ができる。
施設によって違うでしょうがこんなことでしょうか。


しかし
みんな違うのだから
できることも違って当たり前。

 



3月になって
私の病院では1人だけ足並みがずれていると言われている1年生助産師がいます。

1人だけ仕事を任せてもらっていない。
1人だけ夜勤ができない。
1人だけ…


どうしてかというと
言われた事を忘れてしまう。
時間で決まっている仕事を忘れてしまう。
機械の操作方法を忘れてしまう。
優先順位がわからない。

そんな理由です。


本当は1人だけずれているなんてことはありません。
みんな違うのだから。
みんなズレズレなのです。


1年生の中で彼女が1番できることもあるのです。


でも1人だけ夜勤ができないってなると彼女は焦るよね。

 


 

学校は

ここまでができればクリア、という仕組み。高校にしても大学にしても。
60点以上取れば〇。レポートで認められたら〇。

40点が何一つわからなかったとしてもトータルで60点あれば〇。

例えば国語で
文章を読み解く力がなくても
漢字が書け、自分の考えを100文字で述べられ、それで60点取れたら〇。

英語で
リスニングは全くできなくても、記述問題が全てでき60点取れれば〇。

では
リスニングが全くできずに英語教師になるのは可能か。教師として能力を発揮できるか?それはかなり難しいでしょう。


ではリスニングは一生できないのか?
そんなこともないでしょう。


得意なこと、不得意な事を自分が認識して対策を練る、できるようにすればいいのです。
 


だから先述の1年生助産師も
私は忘れる人だと認識して工夫していけば良いのです。

 


忘れまい、といくら思っても
次は忘れないようにしますと反省しても、それは努力ではなかなかできないのよ。
でも工夫はできる。
メモ、タイマー、マーカー、忘れん坊さんの味方になるグッズはたくさんある。


1人だけ遅くてもいいよ。
この先10年、20年働いた時に、遅かったから工夫した事、遅かったから先輩がずっと横にいてくれた事、それは全て宝物になる。同期ができる事が1人でできなかったからとてつもなく多くのことを教えてもらえる。後輩へ細やかに教える事ができる。

それは後になったら分かるから。

 


もしもこの病院で力を発揮する事がどうしても難しい、苦しいと感じたなら、発揮できる場所をさがしてもいいけどね。


1年生の助産師のみんな。
人は成長する。人は変われる。
その成長や変化は人それぞれなの。

ゆっくりでもいい。

そしてね
あなたが、ママや赤ちゃんのためにできることはたくさんある。
あなたが、あなたのためにできることがまだまだたくさんある。
まずは自分を認めよう。
そのままのあなたでいいというつもりはありません。
内側のあなたはそのままでいいけれど、あなたが力を発揮できるように最大限の工夫をしよう。


今いる場所で先輩に可愛がってもらってください。
1人だけできない、1人だけずれている、1人だけ…
そんなあなたが可愛がってもらえる方法はいくらでもあります。
素直であることや、笑顔であることや、気持ちを伝えることや、仕事以外の大好きな事を続けること、感謝すること。

 

 

私もそうやって育ててもらいました。

気がつけば超ベテラン助産師になりました。

今でもわからないことはあります。

でも私だからできる事がたくさんあります。

 

 

きっとあなたもそうなります。