ママとパパは長い間赤ちゃんを望んでいて
やっと授かったその子は
早く生まれたかったのか
予定日よりうんと早い時時から
ママは入院することになったね。
 
 
 
 
 
不安でおしつぷされそうな日々を過ごした。
 
大部屋だったからパパとの会話の殆どは携帯の文字でのやり取り。時々会いにきてくれた時のママのリラックスした顔を覚えてるよ。
 
 
 
誕生日の朝
 
あのコは突然に
本当に突然に
空へ帰ることを決めてしまった。
 
いや。
本当はお腹の中に入る前に
決めていたのかもしれない。
産まれはしない。
でもママのコになるわ!って。
 
 
 
 
あと何時間か。
あと何時間か生きていてくれていたら。
前日に帝王切開していたら。
 
考えても考えても
考えても仕方ないと言われても。
 
ママも
パパも
ご家族も
私たち助産師も
医師たちも
 
悲しみに暮れたけれど
 
あのコは決めていたのかもしれない。
産まれずに空へ帰るって。
 
 
 
 
 
あのコの姉妹がもうすぐ産まれる。
 
ママは
またあの日のようになるのでは?
いつか急に空へ帰っちゃうのでは?
という不安を抱えながら
 
それでも
あのコが見守ってくれていると信じながら
パパと共に待っている。
 
 
たぶん空で話してきたわね。
私が行ってくるねって。
 
 
 
ママ
もう一度
私たちのところで出産することを決めてくれてありがとう。
 
 
 
 
新しい命を 一緒に喜ぶことができる幸せを
私たちにくださってありがとう。