蕎麦の「ホシ」の正体...?? | みたか 鷹場そば

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片山虎之介先生の連載記事

これぞ蕎麦のチャームポイント!

麺の表面に見える「ホシ」の正体とは

【片山虎之介の蕎麦談義 第3回】

『藪蕎麦宮本』さんの「手挽きそば」

『藪蕎麦宮本』さんの「手挽きそば」

文・写真/片山虎之介

自家製粉・手打ちをうたっているような蕎麦屋に行くと、

淡い茶色を帯びた麺の表に、小さな黒い粒が、

点々と散らばっている蕎麦が供されることがある。

この黒い点を、蕎麦の好きな人たちは「ホシ」と呼ぶ。

夜空に瞬く星のように、

小さく点在することから、

こう呼ばれるのだろう。

蕎麦好きにとっては聞き慣れた言葉だが、

「ホシ」とはいったい何なのか、

どういう意味を持っているのかということは、

あまり知られていない。

そこで今回は、この「ホシ」について、

ちょっと解説を試みたい。

ご想像のとおり、この黒い点は、

蕎麦の“殻”である。

真っ黒なホシは、蕎麦の殻が細かく砕かれて、

蕎麦粉に混ざったものだ。

ときどき「殻を食品に入れるとは何事か」と、

憤慨するひともいる。

「殻は食べ物ではない。あれはゴミである」

というのが、そういう方のお考えだ。

製粉のしかたによっては、

黒いホシがひとつも入らない状態で、

麺にすることも可能だ。

それなのに、なぜ、

ホシの入った蕎麦が供されるのだろうか。

蕎麦職人によって、

いろいろな考え方があるだろうが、

私の理解しているところでは、

こういう蕎麦を作る人たちは、

小粒の在来種の蕎麦を使いたいのだと思う。

小粒の在来種は、風味が良い。

しかし製粉会社では、

小粒の在来種を粉にした製品は、

ほとんど扱っていない。

在来種の小粒などは小さ過ぎて

工場のラインに流せないため、

ゴミとして捨てられてしまうのだ。

だから欲しくても、

小粒の在来種を挽いた蕎麦粉は、

なかなか手に入らない。

どうしてもこれを使いたい蕎麦職人は、

しかたなしに自分で石臼を回して製粉することになる。

昔の農家の人が行っていたのと

同じ方法で蕎麦粉を作るのだ。

その粉で打つと、

現代では珍しい、ホシの入った、

古い時代のスタイルの蕎麦ができあがる。

これがうまい。

うまいから、やっぱり蕎麦職人は、

次の日も、また次の日も、

石臼を回さずにはいられなくなるのだ。

麺とホシの状態を見れば、

その蕎麦の個性が、ある程度判断できる。

以下にホシの入った3種類の蕎麦の写真を、ご

覧いただこう。

まずは、薄茶色の蕎麦に、

黒いホシが散見されるもの。

これが代表的な、ホシのある蕎麦だろう。

1

つなぎの使い方にもよるが、

こういう蕎麦は概ね、

風味も良く、食感も滑らかで、

食べたときのインパクトはそれなりに強い。

見た目も美しく、麺の中から光が射してくるような

透明感が、人を惹きつける。

完成度さえ高ければ、

香りと味を楽しむことができ、

しっかりした腰の強さが期待できる蕎麦である。

 

さて次の蕎麦は、緑がかった明るい色調の麺に、

薄茶色のホシが散っている。

2

蕎麦の実の黒い殻をきれいにむき、

「丸抜き」と呼ばれる状態にしてから石臼にかけ、

ほとんど捨てる部分を出さずに挽いた粉で打つと、

こういう蕎麦ができる。

このホシは黒い殻ではない。

殻は石臼にかける前に、

きれいに取り去ってある。

丸抜きの実が枝につながる付け根のところが褐変し、

それが淡い茶色のホシとして麺に散らばっているのだ。

新蕎麦の時期など、こういう蕎麦に出会うことがある。

緑の甘皮が挽き込まれていて、

風味の良さが期待できる。
食味は、良質の蕎麦の実を使っていれば、

何種類もある蕎麦の香りの中でも、

若草に近い感じの香りを楽しむことができる。

アクがなく、誰にも好かれる、

優等生的な美味しさを備えた蕎麦である。

 

そして3番目は、際立って野趣に富む蕎麦だ。

3

黒い蕎麦に、黒いホシが飛んでいる。

暗黒星雲のようなこの蕎麦は、

たくさんの殻が細かく挽かれて、

蕎麦粉に入ってしまったものだ。

だから、つながりにくい粉になっていて、

それを麺の形にするために、太く打たれることが多い。

田舎蕎麦などと呼ばれることもあるが、

太くて黒くて硬い、主張の強い蕎麦は、

好き嫌いの好みが、はっきり分かれる。

麺に点在する黒い点を見ていると、

「そばかす」という言葉が浮かんでくる。

「そばかす」の意味は、

辞書をひいてみると蕎麦殻のことだと書かれているが、

麺に散らばるかわいいホシも、

「そばかす」と呼んであげたくなる。

蕎麦のチャームポイントだといえる。

これら3種類の「そばかす」のある蕎麦が、

どのように味が違うものなのか、

どこかの蕎麦店で出会ったときには、

ぜひ食べくらべていただきたい。

*  *  *

さて、おまけにもう一枚、

「そばかす」のある蕎麦の写真をお見せしよう。

白い麺に、黒い「そばかす」が、

どことなく居心地悪そうに散らばっている。

今までの蕎麦とは、ちょっと雰囲気がちがう。

4

これは何かというと……コンビニの蕎麦である。

黒い「そばかす」は、

期せずして入ったものではないだろう。

意図的に混入されたものだと思うが、

自然にできた「そばかす」に比べると、

やはりどこか不自然さは否めない。

どういう材料が使われているのか私は知らない。

ご存知の方がおられたら、教えていただきたい。

「つけぼくろ」という言葉があるが、

これはさしづめ「つけそばかす」とでも

呼べばいいのだろうか。

以上、蕎麦のホシにもいろいろある、

という話であった。

冒頭の写真は、

静岡県島田市にある『藪蕎麦宮本』さんの「手挽きそば」。

【藪蕎麦宮本】
住所/静岡県島田市船木253-7
営業時間/11時30分~14時
休業日/月曜
電話/0547-38-2533

文・写真/片山虎之介
世界初の蕎麦専門のWebマガジン

『蕎麦Web』(http://sobaweb.com/)編集長。

蕎麦好きのカメラマンであり、ライター。

伝統食文化研究家。

著書に『真打ち登場! 霧下蕎麦』『正統の蕎麦屋』

『不老長寿の ダッタン蕎麦』(小学館)、

『ダッタン蕎麦百科』(柴田書店)、

『蕎麦屋の常識・非常識』(朝日新聞出版)などがある。

 

 

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