太陽がまだ登りきらない早朝、まだ少々暗いにもかかわらず街はにぎやかだ。
どうやら今日は朝市の日だったらしい、あちこちで野菜や果物を入れた袋を抱えた人々が目に入る。
そんな中、ロウ、カモカ、マガリもその一部に混ざっていた。
「とりあえず、買い物はこんなもんかな」
ロウは果物をたっぷり入れた袋をかかえながらカモカの手を引く。
隣でマガリが薬草を値踏みしているようだ。
見ているのは、醜い人型の植物の根を乾燥させた物、値札にはマンドレークと書かれている。
「あのマンドレーク偽物よね、どうみてもふたまたの人参の色を抜いて乾燥させたものじゃない?」
マガリはマンドレークを眺めながらズバズバと言う。
横にいるロウは、マガリの相変わらずな変人さに肩を落としながら紫色のマントを引っ張る。
「そういうのは店主が居るところで言うもんじゃないな」
「だって偽物よ!」
「とりあえず落ち着こうか、周りが見てる」
ロウはマガリを、いかつい店主が睨みをきかせる薬草屋から引っ張り出す。
頬をふくらませながら、小声で薬草のなんたるかをぶつぶつ語るマガリ。
「じゃあ、あれはいいの?」
「あれ?」
ロウはマガリが指差した先を見ると、向かい側のビンがいっぱい並んだ漬け物屋で、いかにも少女趣味そうな男性店員に漬け物を差し出されているカモカの姿が。
「ちょっ、カモカ!」
もごもごと漬け物をほおばりながらカモカは振り向く。
男性店員はちっ、と残念そうな顔をして店の中へ消えて行った。
「離れるなとあれほど…」
カモカは反省する素振りはみじんも見せず、もう一つ先にある漬け物屋を指差す。
「…あっちのがうまい」
「そうそう、あそこの漬け物おいしいよー、カモカちゃんグルメだねっ」
叱ろうとしたロウの後ろからマガリがカモカに抱きつく。
すりすりぎゅっぎゅっ、もはや変態そうな漬け物屋の店員以上に異常なさわり方をしている。
「カモカちゃん居なくなって心配したんだよー」
「いや、お前、マンドレークについて熱く語ってただけだろ」
ロウの鋭いつっこみ。
しかし、全く気にすることなく、マガリはカモカをさわり続ける。
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