むかし、南の島に猫たちだけが暮らしていました。
猫たちは暑がりなので、必要以上に働きません。おなかがいっぱいになればごろごろし、服も着ず自分の毛皮だけで暮らしていました。
オシャレな猫は、毛皮を染めて自分なりの模様を楽しんでいました。
そんなある日、南の島にイヌの国の軍艦がやってきました。
猫たちはびっくりする者、怒る者、様々です。
イヌの偉い人が船から降りてきて言いました。
「いやぁ、君たちネコは裸で暮らしているんだ。野蛮だねぇ。」
猫たちは初めてそんなことを言われたのでびっくりしました。
イヌの偉い人は続けます。
「僕たちは、首輪をつけてスーツを着るのさ。それが礼儀というものだ。」
そうなのか、と思った猫たちは、早速、糸を紡ぎ、爪をひっかけながらも布を編み、スーツのようなものを着て、首輪をつけました。
イヌの偉い人は次に来た時にはこう言いました。
「君たちは働かないねー。僕の家来にならないか?」
それは嫌だと思った猫たちは、せっせと働く者、せっせと働くふりをする者であふれかえりました。
ところが、ここは南の島です。
暑さと働きすぎで倒れる猫たちが続出しました。
また、あまりに働きすぎて、いそがしいため子猫が生まれなくなりました。
そこで、猫の長老が言いました。
「もう、イヌの国の真似はやめよう。私たちは猫なんじゃ!」
そこで、みんな一斉にスーツと首輪を外すことにしました。みんな一緒なら失礼にならないと考えたからです。
ですが、相変わらずその猫の島の猫たちはせっせと働いています。イヌの家来になるのは嫌だからです。
そうして、猫の島は最期の一匹まで働き続け、今では無くなってしまいました。
そう、子猫が生まれなかったからです。