クリームパスタ のがみ
今はもう終わってしまった番組なんですが、
月に一度のナレーションの仕事があって、
かつて、都内某所の録音場所に、月一で4年間くらい通っていたことがありました。
で、録音場所の近くにあった生パスタの小さなお店に行って、少し遅めのランチをするのが月に一度の楽しみでした。
あれから4年ほど。久しぶりに、その街に行く機会があり。。。
実に4年ぶりに、その生パスタのお店に行ってきました。
毎回決まって頼むのは、クリームパスタ。絶品なんですもん。
最初の頃はメニューを見てたけど、色々考えた結果、結局一周回ってその店では、必ずクリームパスタ。に落ち着くことがわかってからは、メニューも見るは見るけど見るフリをするようになっていった。
注文を聞きにきてくれるその店の店員さんは主に2人で、その2人の対応には、ある決まりがあって。メニューを渡した後に、必ずお客さんに向かって言う言葉があった。
僕も最初の頃は、その定型文を言われていた。
『ご注文おきまりの頃にまた聞きにきますね〜!』
『はい!』と元気よく返事はするものの、毎回毎回クリームパスタを頼んで、1年ちょっとがたった頃だったか、そろそろメニューを見るフリしながら、またアホのひとつおぼえで、クリームパスタって注文するのも、なんとなく恥ずかしいなぁ〜とか思っていたある日、
僕に注文を聞きに来てくれる、
いつもの気前のいい髪の長いお姉さんが、
『クリーム、パスタ、、、、です、、よね??』
と、絶妙な間をとりながら、ニッコリと笑顔で言ってくれた。
この時の、なんとも言えず心が温まる感じ、わかりません??笑
月に一度だけ顔を見せる客が、
ついに、
クリームパスタの人、
になった瞬間。
お姉さんの、あの一言の選び方、トーン、間合い、そしてタイミングも含めて、
全てが完璧だ!と感じたわけです!!
今しかない!!って瞬間に、その一言は放たれて。。
うわぁぁぁぁぁ。わかってくれてるわぁぁぁ!!
もう少し早ければちょっと早すぎる。
もう少し遅ければちょっと遅すぎる。
今を、逃さず、そして、お客に決して照れを与えない温かな物言い。
アナウンサーでありながら、
お姉さんから言葉の魔力を改めて教わった瞬間でした。
以降、そのお姉さんの対応はと言うと、
僕にメニューを渡す仕草だけは毎回見せるものの、それを軽く手をあげて制する僕。
という一連の流れが、
クリームパスタで!
の合図になったわけです。
ジャスティス。
で、
翻って、
4年ぶりに訪れたそのお店にて、
あの時の気前のいい髪の長いお姉さんとの再会(だいぶ大げさな言い方ですが、、笑)も期待し、訪れたわけです。
が、
そのお姉さんは、
もうお店には居ませんでした。
聞けば、お店を辞めてしまったとのこと。
ロンドンからリオへ。
五輪だって舞台を変えた。
4年間てそういう時間。
月日の流れを感じた瞬間。でした。
その日、
僕のことを全く知らない、
もちろん4年前にはいなかった、
僕が見たことのない、
髪の短いお姉さんが接客をしてくれました。
そのお姉さんは、メニューを渡しながらこう言いました。
『ご注文おきまりの頃にまた聞きにきますね〜!』
なんだかとても、
ほっこりした。
なんてことない決まり文句が、
妙に美しく思えた。
僕は少しの時間メニューを見るフリをして、やはりこう言いました。
『クリームパスタで、お願いします!』
時の流れ。
変わりゆくもの。
変わらないもの。
どちらも
受け止めて。
抱きしめて。
ジャスティス。
クリームパスタを食べ終えて、コーヒ飲みながらお店でこれを書きました。笑
