涙の青義。 のがみ
仙台大会から一週間です。
様々な想いが巡る一週間でした。
何をどうどこまで書いていいやら考えていたら、時間が経っていました。
仙台では、改めて、なかなか言葉では表せない、本当にいろいろな感情が込み上げてきました。
プロレス実況担当になり、
飯塚選手からの襲撃があり、
永田さんと出会い、
青義軍の一員となり、
どう実況で向き合っていくかを考え、
共にあきらめずに戦おうと、
永田さんと誓った歴史が、
これまでの自分を支えてきました。
嫌で嫌でたまらなかった飯塚選手からの襲撃が、もしなかったとしたら、永田さんとの出会いも生まれなかったでしょうし、自分のプロレス実況に対する向き合い方にも変化は生じなかったのかもしれません。
仙台を終えて改めて振り返ると、
不思議とそんな気持ちになりました。
2011年12月。
棚橋弘至vs永田裕志。
IWGPヘビー級選手権。
この試合が私のひとつの転機であることは間違いありません。
プロレス実況者にとって、
IWGP戦を喋るというのは、
やはり個人として大きな目標ですし、
中継班の中でも、その試合実況のハードルは高く設定されるべきだという伝統が、今でも深く根付いています。IWGP戦の誇りと重みは実況者にとってもレスラーと同様なのです。
簡単には、タイトルマッチは喋れない。
2011年12月。
私は、永田さんのタイトルマッチを実況することが、出来ませんでした。
力不足。
それ以外のなにものでもありませんでした。
2007年にプロレス担当になり、
2010年から永田さんに引っ張ってもらい、
以降、
永田さんのタイトルマッチを実況することが、私の全てのモチベーションでした。
でも、事実。
あの時は、実況を許されませんでした。
いつも通り、
実況は、吉野アナが務めました。
あの日、バックヤードで永田さんと交わした約束を、これまでずっと胸に実況を続けてきました。
『次がある。次はお前が喋れるよう頑張ればいいだけだ。ネバーギブアップだよ!野上!』
涙をこらえながら私に言ってくれた永田さんと、涙をこらえられなかった私。
後日、食事をした際に、
『永田さん、また次がありますか?』
そう問うと、
『馬鹿野郎!俺はまだまだ、終わらねぇぞ!俺を勝手に終わらせるな!』
と豪快に笑った永田さん。
あれから、3年2カ月が経ちました。
私と、プロレスを取り巻く環境も大きく変わりました。
2012年7月、山形。
永田さんのタイトルマッチを実況出来なかった8カ月後。
棚橋弘至VS田中将斗
私は初めて、IWGPヘビー級選手権を実況しました。
プロレス班最年長の古澤さんの異動。
エース吉野アナがロンドン五輪出張で不在。
『その時』は、
突然に訪れました。
いろいろな声が、
耳には入ってきました。
いいことも。わるいことも。
それでも背負わざるを得ない状況の中で、精一杯、あきらめずに向き合いました。
プロレス実況班の威厳を保つために。
そうしてひとつひとつ、手を抜かずに向き合って、積み上げてきた歴史が、自分にとってはかけがえのない財産です。
この3年2カ月で、
IWGPヘビーも、
インターコンチも、
G1でのビッグマッチも、
東京ドームでの大一番も、
実況をする機会に恵まれました。
全ての初めては、
永田さんではなかったけれども。
でも今ならば、
それで良かったと心から思えるんです。
そして、
ついに、永田さんのタイトル挑戦の機会がやってきました。
カードが発表されてすぐに、
実は、
吉野アナから電話がありました。
『今度の永田戦は、お前が喋れよ!さすがに次は野上が喋んなきゃだめだろう!頼むよ!』
この何気ない会話が、
何だかむちゃくちゃ胸に染みて。
全てのいろいろがつまっていて。
誰に何を言われるよりも、
気持ちが入りました。
そうして迎えたタイトルマッチ。
『俺がかつて守り抜いてきたIWGPの理念を今のインターコンチに感じてならない。だからこそ本気でインターコンチをとりにいく。』
ベルトの色形は変わりましたが、永田さんが本気でとりにいくベルト。タイトルマッチ。
その放送席に座った私は、
もう込み上げてくる感情を抑えるのに必死でした。
放送席から見えるリポート席には、吉野アナが座っています。
実況アナウンサーとして、破綻することなく試合をしっかり伝える。気持ちをコントロールして、何とか、冷静に伝える。
そんな意識で実況しました。
ま、実況が終わったら、
破綻してしまいましたが。笑
なんだかとりとめもなく長くなってますね。
その試合が今夜、
ワールドプロレスリングで放送されます。
そもそも、
実況アナの歴史とか裏側とか、どうでもいいよ!
という、考え方が視聴者の中にはあることも十分にわかっているつもりです。
それでもやっぱり。
私個人にとっては。
もはや、これが全てに近いんです!
本当に。笑
これまで自分を温かく見守り、仲間として背中をおしてくれた永田さん。
そして、内輪になりますが。
ワールドプロレスリングの、チームスタッフへの感謝の想いが尽きません。
ある意味、『究極のサイドストーリー』を、想いを込めて追いかけてくださったスタッフの皆さんに、感謝の想いが尽きません。
ワールドプロレスリング。
是非ご覧ください!!
あと、
金沢さん!!
これを読んでまた、
泣いちまいました!笑
話題にして頂き、有難うございました!