実況ヤングライオン 寺川俊平の日常④

鈴木みのる選手に


広島で思いっきり叱られました。



第二試合のバックヤードの
インタビューでした。


鈴木選手は裏で第一試合の映像を見ていたそうです。




その第一試合は僕の実況


エル・デスペラード選手の技を

把握しきれてなくて


間違えた実況をしました。



崩れて、頭がこんがらがって

最後、エルデスペラード選手のことを
必殺技のギターラ・デ・アンヘルと

呼んでしまいました。


もちろん言い直しましたが、


「やってしまった」


そう思いながら二試合目のインタビューへ。



そこで勝利を収めインタビューゾーンに戻ってきた鈴木選手に

こう、言われました。


「俺、ビクビクしながら試合しちまったよ。
何にビクビクしてたかわかるか？　
第１試合、控室のモニターで見てたら、
名前は違うわ、技（の名前）は違うわ。
人の名前を間違うってのは、
『お前なんか死んじゃえ』と言ってんのと同じなんだぞ」


もう本当にその通りだと思いました。


何も言えませんでした。



一番下っ端の僕が


技の名前をちゃんと覚えられてないなんて


言語道断。



命を削ってる選手に対して


失礼極まりないことをしてしまいました。




下っ端だって



ベッドセットをつけたら



1人の実況者。



そして



下っ端だって




先輩たちと同じように


テレビ朝日のアナウンサーとして


マイクを握ってる。



ここでこんなことを書いたら



言い訳みたいに聴こえるかもしれないし


醜いかもしれないし


ただ誹謗中傷の的になるかもしれない



でも



言い訳したくないからこそ


このことを絶対忘れてはいけないこらこそ



書きました。



すいません。




僕の間違いで


選手の命がけの技を



会場に来られない人に感動として伝えられない



僕の間違いで



テレ朝のアナウンサーは技を覚えてない


って、そう思われる





もう色々申し訳なくて
色々悔しくて





そのインタビューのあとの実況は




技を、喋るのが


どんどん怖くなって


超基本的な技も


間違っている気がして



ひとつも自信がなくなってしまいました。



正直今も怖いです。




でもこの怖さは


自分で乗り越えるしかない。



誰も助けてなんかくれない。




やるしかない。




むちゃくちゃ自分にプレッシャーかけて


やっていこうと



そう思います。






寺川