夕闇。うろうろしながら、私はある人を探していた。 交差点の向こう、すれ違う車の間、 たくさんの人の顔や頭や後姿を見送って、 あの人を思い出していた。 暮れだしたオレンジの光がまぶしかったのに、 いつの間にか、振り返ったら青い闇が もうそこまで、近づいていた。 ドキドキしてきた。 下腹辺りも軽く痛くなってきた。 急に、自分のいつものふとんを想った。 帰って、早く帰って、ふとんにくるまりたかった。 こんな心細さはなかった。