ちから。 | 短篇集
自分より重たいものを、
動かすためにちからいっぱい
両手を前に出す。
歌は、
テレビでうたう人たちは、
四角い画面いっぱいに
ちからいっぱい
私の見えない何かを動かす。
今を楽しくしてくれたり、
今までを癒してくれたり、
今からを待ち遠しくしてくれる。
努力して手に入れることが
できるものと
そうじゃないもの。
私のそばにいるだけで、
その人のこころが
やすらぎ、穏やかになること、
これまで、何人かの人が
わたしにそうしてくれたように。
才能とか特別とかじゃなくて、近くにあるから。
よく見て?
大丈夫、
なんの根拠もないけど。