ちらかったテーブルの上には、


赤いケータイが、ひっくりかえっている。


時間が、過ぎていたのに、懐かしいその声は、


私を、高校生に戻したけど、


鏡に映った私は、間違いなく今の自分だった。


泣きたくなったのは、


悲しいからじゃない。


「頑張ってね」

「大丈夫よ」

「元気でね」

「無理しないでね」


思い出して、ひとりなのに笑った。


もうどこでも、行ける。

私は、ひとりで、どこへでも、行ける。


自由に。