ゲームやクイズをしながら収録は進む
異常は見当たらず、ただ二宮氏の様子を見ていた

この3人の中ではまとめ役というところなのか、ボケたり突っ込んだり、時にはまじめに話を聞く
そんな中でもくるくると甘えた様子で二人を絡ませたり
「忙しい人だなぁ」

「え?何が?」
おっと、声が出ていたらしい

「なんでもない、ごめん。」
みんながくすくすと笑ってる

気を引き締めて見ていると

ゲームの途中で機材が二宮氏の方へと倒れてきた
あっと思った矢先、そばにいた相葉氏が庇い、松本氏の誘導する安全な場所に手を引いていった
ホッとした
思わず収録も考えずに跳び出しそうになった
素材だって、当たっても怪我しない程度のものだってわかっているのに…
俺は何をやってるんだ?

「智くん、大丈夫だよ。」
バレてたか

「ふふ、咄嗟で焦った。」
そのまま異常がないか、スタッフが確認して、収録は続いた


収録の予定時刻に近づいた頃
二宮氏がカメラの向こう側に釘付けになっていることに気がついた

多分あっちには丸山が居るはず
インカムに問いかける
「丸山、そっちに異常は?」

「ありません。」
ふと思いついて

「紙袋を持ってるやつ居ないか?」

「…居ます。ラフな格好のスタッフっぽい人ですが。」

「その人にどこの所属か聞けるか?
翔くんフォローに回って」

「了解」

「スタジオを出て行きました。追っていいですか?」

「頼む。俺たちの行動を読んでる。それに、俺たちよりもここに詳しいはずだから。」

「智くん、元マネ?」

「可能性はある。」

「渋谷、注意して見といてくれ。」

「了解」

二宮氏は我に返ったように、いつもの様子で収録に臨んでいる

インカムに不意に音が入る

「先輩、ダメです。巻かれました。」

「智くんごめん。他の収録現場をうまくかいくぐられて、追えなかった。」

「顔はわかったか?」

「はい。映像は撮ってたので。」

「じゃ、翔くん、解析に回して。事務所に裏を取って。」

「了解。」

「丸山、元の位置に戻りました。」

「先輩、渋谷ですけど、観覧席の一名が退席しました。追いますか?」

「頼む。事情を聞いてくれ。」

「了解」

本日の収録は異常です!
お疲れ様でしたー!

スタッフの大きな掛け声に、みんなホッとしたように拍手がわき、メンバーのみんなも手を叩きながらスタジオを後にする