ミステリーツアー

 私達夫婦は10月で結婚20年になりましたので記念に旅行をしようかとなりました。本当はインドへ行きたかったのですがコロナの為に海外旅行は出来ず、国内旅行になります。しかし国内で何処へ行って何を見たいと言う希望も有りませんで、どうしたものかと思っていましたらクラブツーリズムが送ってくれたパンフレットに11月生まれのお客様限定のミステリーツアーと言うのを見つけました。私達は2人共11月生まれですのでこれは良い。11月末の2泊3日のツアーで羽田発が10時30分、そして帰りは羽田に15時着と有りますので海外旅行と違って動きに無理もない。そしてミステリーツアーと言うのは羽田空港でチケットを貰うまで何処へ行くのか分からないと言う企画だそうですので特に行きたい所の無い私達にはぴったりで、早速これを申し込みました。ミステリーとは言っても飛行機で約2時間飛び、食事には毛ガニが出ると有りますのでたぶん北海道だろうと想像はつきます。しかし11月末か、相当寒いかな。

 40年前の11月に私は出張で北海道へ行き、当地の担当者と一緒に帯広から釧路まで行った事が有ります。その時には冬用の背広にレインコートでは無くオーバーコートを着て行きました。憶えている事と言ったら帯広の酒問屋さんで冬にはマイナス30℃になると聞かされた事と、夕食に注文したイクラ丼はご飯より上に乗っているイクラの方が多かった事でしょうか。

 そして夜になると担当者と一緒に夜の街に出ました。スナックに入りますとお店のお姉さんに「毛布を着たお客さんがご来店よ」とからかわれました。程よく酔ってお店を出ますと余りの寒さに酔いは吹き飛び、コートの下には何も着ていないような感覚になります。そして次のお店に入りますとさっきの酔いが戻って来たものでした。

 そんな思い出が有るものですから着て行く服には悩みました。首までチャックの上がる前開きのセーターの上に真冬用のラフなコート、これでどうだ。妻も出発の前日まで着る物には悩んでいました。

 ツアーの注意書きにはマスク着用、そして毎日健康チェックシートを提出して熱が出たり風邪の症状が出たら即ツアーを離脱して貰いますと有ります。生まれつき鼻と喉の弱い私は出発の2日前から夕食後にパブロンを飲み、ツアー中には朝と夜にはパブロンと胃腸薬を飲む事にしました。

 さていよいよ出発の当日、羽田で添乗員さんにチケットを貰いますと「羽田ーオホーツク紋別空港」と有ります。ほうオホーツクか、でも札幌や前にも行った事の有る帯広や釧路よりは良いかも、でもオホーツクってどんな所だろうか。このツアーの参加者は9組18人のご夫婦だそうです。

 ツアーの内容はと言いますと非常に単調なものでした。紋別の飛行場からオホーツク海に沿った道を北西へ向かい日の出岬のホテルで1泊、翌日は昨日来た道をオホーツク海に沿って南東へ進み網走湖畔のホテルに1泊、そして3日目は観光も無く昼食のあとはオホーツク紋別空港から羽田へ。

 紋別ではオホーツクタワーから冬の荒れたオホーツク海を眺め、オムサロ原生花園の荒れた草原に群生する真っ赤なハマナスの実を見、流氷岬でオホーツクの風に吹かれました。翌日はサロマ湖畔のリゾートレストランで昼食、天都山と言う小高い丘にはオホーツク流氷館と言うのが有ってマイナス15℃の部屋を体験、そこでは濡れたタオルを持たされ15分程振り回していましたらタオルがパリパリに凍ってしまいました。また網走刑務所の煉瓦塀も見ましたが特に感想は無し。最後の日は水産業者の建屋の2階でボタンエビとホタテ貝とホッケの炉端焼きを美味しくいただきました。

 オホーツク海に沿ってバスは走りましたが、バスガイドさんが「空にオジロワシが飛んでいます」「右手には鹿!」「左手の草原に居るのは白鳥です」「あれは白鳥より一回り大きい丹頂!」と案内してくれますが写真を撮るチャンスは有りません。このようにツアー自体は非常に単調なものでしたが、景色はともあれ9組18人のご夫婦達は毎度の美味しい食事とホテルでの温泉を十分に満喫されたようでした。

 ツアーを終えて感じましたのは、街にも道にも人を見ない、一方でホテルやレストランや道の駅では皆さんがとても親切に応対してくれた事でした。早くコロナが落ち着いてオホーツクにも観光客が戻って賑やかさが戻ると良いですね。