ブルー・バイユウ

 30才を過ぎた頃だったでしょうか。ニッティーグリッティー・ダートバンドがダートバンドと改名し、リンダ・ロンシュタットをゲストに迎えて発表した「アメリカン・ドリーム」と言う曲が有りまして、ハープーン(ハーモニカ)の音色が懐かしくジェフ・ハンナとリンダ・ロンシュタットの男女2人のハーモニーが心地良い、朝のコーヒーを思わせるような爽やかなカントリーロックでした。ダートバンドのLPレコードは何枚か持っていましたがリンダ・ロンシュタットも良いねと思って彼女のLPレコードを1枚買って見ましたところ大して良く無い期待外れの内容でがっかりしたのを憶えています。

 最近、テレビのYouTubeでリンダ・ロンシュタットのYou're no good と言う曲を見つけました。1976年の映像だそうでまだまだサイケデリックの雰囲気が残った演奏でしたがリンダ・ロンシュタットは小柄で髪はショートヘアー、顔は童顔なので目の下を黒く塗って大人びた雰囲気を出そうとしていますがその仕草には少女っぽいところが有ります。そして彼女の声がクリアーなものですから演奏はロックで歌はポップス?と言った感じの面白い映像です。

 この映像をfacebookにUPして「演奏はロックで歌はポップス?」とコメントを付けましたら友人TTからコメントが入りまして、「これも良いけど自分はブルー・バイユウが1番好きだ」と言います。ブルー・バイユウ?知らないなあ。

 そこでLinda Ronstadt Blue Bayou とYouTube で探しますといくつも出て来まして、その中から私は2つをピックアップして聞いて見ます。1つはリンダの公式ビデオだそうですが画面の暗い、古いフイルムの映像です。歌は良いけど画像がなあ、と思ってもう1つを見ますと画像は明るく鮮明で最近のビデオのようにも見えます。そして彼女の姿が魅力的。

 若々しい黒髪に包まれた顔には人格が抜けてしまったかのような虚(うつ)ろな目と、そしてくっきりとした唇。衣装はと言いますとギリシャの女神を思わせる真っ白なミニのワンピース。胸開きドレスの腰のあたりには黄金色のベルト、と思いましたらベルトの形のシースルーのデザインで、ベルトの黄金色は彼女の肌色なのでした。ミニスカートから伸びる若々しい両脚はすらりとした小麦色で足は裸足。そして右の足首には金色のチェーンと言うお洒落な姿でなかなかよろしい。しかし、この人、ホントにリンダ・ロンシュタット?映像ではLinda Ronstadt Experience と紹介されていますのでリンダ・ロンシュタット本人なのでしょうが、声と歌い方はリンダにそっくりなのですが顔が違うような。

 そこでこの映像をfacebook にUPしまして「この人、ホントにリンダ・ロンシュタット?」とコメントを付けましたらCTさんからコメントが入りまして、「自分も80年代後半のリンダかと思いましたが、これはリンダのトリビュート・バンドですね」と有ります。そうか、トリビュート・バンドか。

 今度はLinda Ronstadt Experience で検索して見ますと出て来る出て来る。

 そしてその中にリンダ・ロンシュタット・エクスペリエンスと言うバンドを紹介する1分余りの映像を見つけまして、そこにはTristan McIntosh と言う文字が有ります。そうか、この歌手はトリスタン・マッキントッシュと言うのか。そして更に調べますと彼女はアメリカンアイドルと言うテレビ番組で賞を取った、現在20才(はたち)くらいの女性だと分かりました。デビューの時にはアフロヘアーなので少し黒人が入っているようでも有ります。

 そして彼女の正体が分かったところで本題の「ブルー・バイユウ」。この曲はアメリカ南部の湿地帯から都会に出て来て過酷な労働条件の中で故郷に思いを馳せる若者(男でも女でもどっちでもよろしい)の歌なのですが、オーティス・レディングの「ドック・オブ・ベイ」のような絶望感は無いふんわりとした歌詞で、そんなに故郷が良いのならそもそも都会に出て来はしないだろうとツッコミを入れたくなるようなバラ色の故郷を歌っています。まあ、ブルー・バイユウと言う言葉の響きと、それから曲のメロディーが良いんでしょうね。

 そして残念な事に、トリスタン・マッキントッシュも登場する歌詞付きの「ブルー・バイユウ」が有りましたのでそれに合わせて一緒に歌って見ますと自分の音域の狭さに驚いてしまいました。私も年を取ったのね。