着々と皮膚も老化

 55才になってすぐの冬でしたからそろそろ16年になりましょうか。寒がりの私は営業職でしたので冬は防寒肌着を着ていました。ある日帰宅して夕食を済ませますと体温が上がったからでしょうか、背中が、火がついたように猛烈に痒(かゆ)くなりました。痒(かゆ)みは続き、そしてお風呂に入ろうと肌着を脱ぎます時に防寒肌着はバチバチと音を立てます。お風呂から出ても背中は赤く、そして痒(かゆ)みも続き、この症状が何日も続きました。これはいけない。

 その頃の掛かり付けの先生は皮膚科もやっていましたので相談に行きますと、垢すりはやめなさい、そして尿素の入ったローションを使いなさいと言って小さなチューブ入りの痒(かゆ)みどめの塗り薬を出してくれました。それまでは髙島屋の外商懇談会のお土産に貰った垢すりを使っていたので体を洗うのには普通のタオルを使うようにし、お風呂を出たら尿素入りのローションを使い、痒(かゆ)みの我慢出来ない所には痒(かゆ)みどめを塗るようにしました。しかしこれは治っては起こり治っては起こりの冬場の乾燥に由来する湿疹で、毎年11月の末から翌年の5月の連休まで続き、連休明けには嘘のように症状は消えてしまうのですが、これが毎年何年も続いています。

 一昨年の秋に近所の皮膚科の先生が私の帯状疱疹を見事に治してくれましたので先生に冬場の乾燥に由来する湿疹についても相談して見ました。体を洗うのにタオルはやめて石鹸の泡を掌(てのひら)に作って体は掌(てのひら)で洗いなさい、それから肌着にヒートテック(化繊)はいけません、肌着は木綿100%にしてくださいと、保湿ローションと湿疹の塗り薬を出してくれました。

 先生の出してくれたローションと塗り薬は効き目が良いのですが、やはり冬場の乾燥に由来する湿疹は手強く、あちらが治ればこちらに出ると言った具合でモグラ叩きゲームをやっているようです。脇の下→肩→背中→肋骨の表面→腕と、上半身を痒(かゆ)みが巡りますが症状は上半身だけで顔は何とも有りませ んでした。

 ところが昨年の夏あたりからでしょうか、冬場の乾燥に由来する湿疹がすっかり消えたあとに今度は夏場の汗に由来する湿疹が出るようになります。私は右を向いて眠る習慣が有りますので、右の耳たぶ、右の首あたりをやられます。そしてこれも湿疹の塗り薬で鎮まりますので冬場程に辛くは有りません。しかしこれでは年がら年中湿疹とのお付き合い、嫌になります。

 そして更に。

 これまで何とも無かったのですが今年の9月の始め頃からです、髭(ひげ)を剃ったあとに左右の頬(ほほ)と顎(あご)と首がやたらに痒(かゆ)くなります。赤くなる訳でも有りませんから湿疹では無い只のカミソリ負けなのでしょうが、しかし痒(かゆ)い。妻の勧めで髭(ひげ)剃りあとに馬油(ばーゆ)を塗りますと痒(かゆ)みは収まります。しかし馬油(ばーゆ)の効果は短く、3時間もしますとまたまた痒(かゆ)みが現れ、就寝する頃には左右の頬(ほほ)にブツブツが根を張ったように出現し、夜中に目を覚ましますと無意識のうちに頬(ほほ)を掻いています。

 こんな状態が2ヶ月以上も続きますのでいよいよ近所の皮膚科の先生に相談に行きました。「髭(ひげ)剃りは電気カミソリですか?」、朝は電気カミソリですが夜は風呂あがりにジレット4枚歯のT字型カミソリです、そしてシェービングフォームをつけると頬(ほほ)がヒリヒリしますと答えますと「朝も夜も電気カミソリにして下さい、普通のカミソリは肌も削りますから」と指導され顔用の薬を出してくれましたが、これも湿疹の一種なのでしょう。歳は取りたく無いものですと私が言いますと「トランプさんも安倍さんも歳は取りますから」と笑顔で慰めてくれました。

 朝も夜も電気カミソリにして顔用の薬を塗って1週間、症状はほとんど回復しました。早く皮膚科へ行けば良かった、しかし着々と皮膚は老化しています。