アスリートの精神

 テレビで女子マラソン選手の話をやっていました。彼女はオリンピックで金メダルを取って国民から高い評価を得、次のオリンピックでも金メダルを取ろうと決意しました。そして前回のオリンピックの時よりも更に強い体を作ろうと激しい練習を続けた挙句、次のオリンピックの直前に脚を痛めてしまい、突然オリンピックへの参加を辞退します。そして国民から大きな落胆の意と非難の攻撃を受けて耐えられず、彼女はしばらく北海道に身を隠したのだそうです。

 この女子マラソン選手の番組を観ていて、私はアスリートにとっての肉体と精神との関係はどう言うものだろうかと考えました。なにしろアスリートですから肉体が主役です。肉体が並外れた働きをします。ですから「肉体」が芸能人だとするならば「精神」はそのマネージャーですよね。肉体に最大のパフォーマンスが出来るように精神は調整の働きをします。一般に「強いメンタル」と言いますがメンタルが強いだけでは金メダルは取れないでしょう。やはり主役は肉体です。強いメンタルの状態にしておいて肉体に最大限の働きが出来るよう準備して肉体の応援をするのが精神ですね。アスリートの場合、野球にしてもサッカーにしてもテニスにしても主役はやはり肉体で、精神はそのマネージャーに過ぎないようです。

 しかし、肉体と精神とのこの関係はアスリートだけのものでも無いように思えます。恋愛をするのも肉体です。そして肉体に恋愛の衝動が起こった時に精神はその恋愛の衝動を感情や言葉に変換してその衝動を正当化し応援するのです。

 そしてまたこの関係は恋愛だけに限ったものでは無く、仕事の場面でも通用しますね。実際に仕事をするのは肉体です。そして精神が仕事の優先順位やスケジュールの調整をして肉体の応援をする、つまりマネージャーの働きをしています。

 肉体と精神との関係において、私たちは何時(いつ)から精神を肉体の上に置いたのでしょうか。精神が肉体よりも上位に有ると言うのは共同幻想ですよ。