第３次オイルショック

第３次オイルショック

　エジプトではムバラク政権が倒れましたね。あの民主化運動の最中、日本政府のコメントは「エジプトからの原油や天然ガスの日本への輸入量は輸入全体の１０％だから問題ない」でした。言いますよね。もしあの時スエズ運河の労働者がストライキを打ってスエズ運河を封鎖していたら中東から西欧への原油の輸送はアフリカ大陸を時計回りに運ぶしかなくなって、物流コストの上昇や物流への不安によって第３次オイルショックが起こっていた可能性が高く、危ない所だったのです。日本政府は間抜けです。頭はどこに付いているのでしょうか。

　チュニジアに続いてエジプトの民主化運動が成功したので、北アフリカやアラブ、ペルシャ諸国でも一斉に民主化運動が広がっています。昨日のＮＨＫテレビのニュースウォッチ９に専門家が登場して「リビアから日本は原油を輸入していない、輸入しているのは魚や缶詰くらいのものだから日本への影響は無い」とコメントしていましたが、言いますよね。リビアは大きな産油国だそうです。ですからもしリビアからの原油の供給が停滞したら原油全体の供給が減りますので原油価格は大幅に上がる筈です。実際、２１日のドバイ原油価格は２年５ヶ月ぶりに１バレル１００ドルを付けたそうです。

　１バレル１００ドルと言えば、リーマンショックの前にファンドマネーが原油先物市場に乱入して実現させた価格ですね。あの時はヨーロッパや日本では燃料価格が高すぎるので漁師達が出漁の回数を減らしました。それでもあの時はまだ良かったのです。ファンドマネーは石油タンクを持っておらず、また原油の流通手段を持っていないので、どこかで売り抜ける必要が有りました。今回は違います。実需です。

　今朝のインターネットのニュースで、未確認とはしながら、カダフィ大佐がリビアを離れたようだと英国が発表しました。もしカダフィ大佐が失脚してリビアの民主化が成功すれば、「あの恐怖政治の独裁国家のリビアでさえ民主化運動は成功するのだ」となって、周辺諸国の民主化運動はますます燃え上がることでしょう。そうなれば一時的にしろ北アフリカや中東からの原油の供給は大変不安定になります。「第３次オイルショック」の言葉が浮かんで来ます。

　民主化運動は大事な事です。必要な事です。ただ日本の政府やメディアが余りにノー天気なのが気になるのです。

　今回の石油危機には間に合いませんが、これは日本にとってはチャンスでもあります。核アレルギーの強い日本ではなかなか原子力発電所の増設が出来ません。しかし、ここで政府が電力会社に原発の増設を要請すれば日本国民もきっと納得します。将来に渡っての日本のエネルギー政策の、これは転機になります。

　日本の政治家には、内輪揉めばかりやっていないで、３０年、５０年後の日本をどうすれば良いのかというビジョンを持って欲しいものです。そうそう、メディアも同罪ですよ。