ワイン騒動 その3
テーブルワイン・バトル
1st課長が神戸支店長へと栄転し、ワイン課には2nd課長が着任しました。私はここぞとばかりに2nd課長に提案を申し上げました。「今テーブルワインで価格政策を実施しないと業務用市場で我社のテーブルワインは締め出されてしまい、競合他社の天下になってしまいます」。「現在は輸入ワインの在庫管理業務は他の課にお願いしていますが、これはワイン課でやるべきです」。「こういった事を実施する為には、私は内勤に入って内務リーダーとして課長のお手伝いをさせていただく気持ちが有ります」。2nd課長は私の進言を取り上げて私を内務リーダーにしてくれました。2nd課長がワイン事業部を呼んで価格政策について相談しますと、ワイン事業部も現在のテーブルワイン市場には大変な危機感を持っており、価格政策への予算付けはやりましょうとの事でした。
さて、業界には上代(じょうだい)下代(げだい)という言葉が有ります。上代(じょうだい)とは酒販店の名目の小売価格の事で、下代(げだい)とは酒販店の実質の仕入れ価格の事です。
2nd課長はワイン課のメンバーを集めて、我社のテーブルワインの業務用酒販店への納価をどれくらいに設定するか、つまり下代(げだい)を上代(じょうだい)の何%くらいにするかを議論する会議を開きました。色々な意見が出るのですが、なんと、下代(げだい)を上代(じょうだい)の30%にするべきだ、いや、20%にするべきだと言うとんでもない意見が出て来ました。これでは売っても売っても損失が増えるばかりで、それなら初めから売らない方がまだましです。こういう意見を私より年上の人達が主張するのですから堪りません。そしてこんな事を議論していたら価格政策そのものが無に帰してしまいます。
私はついに声を荒げて言いました、「いいですか、納価を只(0円)にしても、うちのシェアは100%にはなりませんよ。商品が余りに安いと消費者は何か有るなと疑ってその商品には手を出しません。商品には適正価格と言うものが有るんです」。強硬意見の方々も渋々納得しました。若いメンバー達もそれを見てほっとしたようでした。
私達は得意先を通じて競合他社の納価をだいたい把握していましたので、納入条件をそのあたりに設定する事になりました。我社のテーブルワインの品揃えは立派なもので、また品質も良いので、競合他社に価格政策さえ合わせれば十分に戦えたのです。いやいや、つまらんバトルを演じてしまいました。
テーブルワイン・バトル
1st課長が神戸支店長へと栄転し、ワイン課には2nd課長が着任しました。私はここぞとばかりに2nd課長に提案を申し上げました。「今テーブルワインで価格政策を実施しないと業務用市場で我社のテーブルワインは締め出されてしまい、競合他社の天下になってしまいます」。「現在は輸入ワインの在庫管理業務は他の課にお願いしていますが、これはワイン課でやるべきです」。「こういった事を実施する為には、私は内勤に入って内務リーダーとして課長のお手伝いをさせていただく気持ちが有ります」。2nd課長は私の進言を取り上げて私を内務リーダーにしてくれました。2nd課長がワイン事業部を呼んで価格政策について相談しますと、ワイン事業部も現在のテーブルワイン市場には大変な危機感を持っており、価格政策への予算付けはやりましょうとの事でした。
さて、業界には上代(じょうだい)下代(げだい)という言葉が有ります。上代(じょうだい)とは酒販店の名目の小売価格の事で、下代(げだい)とは酒販店の実質の仕入れ価格の事です。
2nd課長はワイン課のメンバーを集めて、我社のテーブルワインの業務用酒販店への納価をどれくらいに設定するか、つまり下代(げだい)を上代(じょうだい)の何%くらいにするかを議論する会議を開きました。色々な意見が出るのですが、なんと、下代(げだい)を上代(じょうだい)の30%にするべきだ、いや、20%にするべきだと言うとんでもない意見が出て来ました。これでは売っても売っても損失が増えるばかりで、それなら初めから売らない方がまだましです。こういう意見を私より年上の人達が主張するのですから堪りません。そしてこんな事を議論していたら価格政策そのものが無に帰してしまいます。
私はついに声を荒げて言いました、「いいですか、納価を只(0円)にしても、うちのシェアは100%にはなりませんよ。商品が余りに安いと消費者は何か有るなと疑ってその商品には手を出しません。商品には適正価格と言うものが有るんです」。強硬意見の方々も渋々納得しました。若いメンバー達もそれを見てほっとしたようでした。
私達は得意先を通じて競合他社の納価をだいたい把握していましたので、納入条件をそのあたりに設定する事になりました。我社のテーブルワインの品揃えは立派なもので、また品質も良いので、競合他社に価格政策さえ合わせれば十分に戦えたのです。いやいや、つまらんバトルを演じてしまいました。