サーンキヤ哲学体系 略説

 先に申し上げましたサーンキヤ哲学の体系を簡単に整理してみます。

 サーンキヤ哲学は二元論です。おおもとにプルシャという精神原理とプラクリティという物質原理をたてます。プルシャは男性です。プラクリティは女性です。プルシャはそれ自体、展開・活動をしません。ただプラクリティの展開・活動を見ているだけです。

①プラクリティ(物質原理)はラジャス(激質)、タマス(暗質)、サットヴァ(純質)という3種の性質(グナといいます)を帯びています。この3種のグナのバランスが崩れたときにプラクリティは展開を開始します。

②プラクリティが展開して、ブッディ(統覚)が生じます。

③ブッディが展開して、アハンカーラ(自我意識)が生じます。

④アハンカーラが展開して、11のインドリア(器官)が生じます。11のインドリア(器官)とは、マナス(思考)、続いて鼻、舌、目、身、耳、そして筋肉、生殖器、消化器、呼吸・循環器、発声器官、以上11です。
 ここで筋肉から発声器官までの5つはサーンキヤ・カーリカー(原典)では声、手、足、排泄、生殖器となっていますが、以下に続くタンマトラやブータとの対応で筋肉~発声器官に変えてみました。

⑤11のインドリアが展開して、5つのタンマトラ(素粒子)が生じます。5つのタンマトラ(素粒子)とは、香、味、色、触、音です。

⑥5つのタンマトラ(素粒子)が展開して、5つのブータ(元素)が生じます。5つのブータ(元素)とは、地、水、火、風、空です。

 プラクリティ(物質原理)は以上の6段階を経て世界を展開します。心の働き、体の働き、環境世界へと展開するのが分かりますね。

 以上、簡単に整理してみましたが、いかがですか。おもしろいでしょう。