『挫折とは全然捉えていない』と、石川君が言った。
普段の、静かな声で。

強がりではなく、本当にそう思っているんだろう。多くは語らなくても、聞かれた事に対し、石川君はいつも正直に応えている。

OQTではケガがあったものの、手応えもあったと思う。
膝を庇いながらのレセプションは大変だ。サーブはミスも多かったけど、攻めサーブ担当なんだから、フローターの選手と同じカウントされるのは、ちょっと気の毒だなと思う。


…『挫折』って何だろう。
周りから見たら挫折でも、本人がそう感じていなければ、挫折ではない。
つまり簡単に言えば、『負ける事』は『挫折』ではない…。

なぜなら、本人がプラスの何かを手に入れたから。経験や課題。今まで感じた事のない気持ち。

それに、石川君は全日本では逸材だけど、世界ではまだまだ経験が浅い。これからたくさんの事を体験して、色んな事を『知る』必要がある。

そうか。挫折するには早過ぎるんだ。
五輪の出場権を逃した事が、『石川祐希の挫折』となるには、まだ早過ぎる。

納得!