10月 24日 土曜日 2020年


2回目の福島での朝を迎えた。
またもや、自然に早朝6時前後に 目を覚ましたわたしは、
まだボケている頭で、昨日同様、瞼を開けて数秒間、
「え゛。 ここどこ。、、あー、せやった、父の家に来出たんだ」
という一連の流れを経て、
私:「おはよう」と言って
父の寝ているリビングへ出ていくと、
アホの父は、また、タブレットに夢中で、
先日と同じ、野球部のアニメを、しかも、
わたしが福島の父のもとに来てから 父が何度も繰り返し見ている、見た同じ回を見ていた。

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一旦、話は横道に逸れるが、父は、家族が引くほど、同じアニメ、音楽を、聴き続ける習性がある。
そしてその片鱗がわたし自身にもあるので、その気味の悪い習性の理由を理解してしまうからおぞましい。
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起きてきたわたしに気づいた父は、
父:「お、杏ちゃん(ワシ)もう起きたか、早いね!」と、
言って、朝ごはんを食べることに。

一昨日、切れてしまった父のギターの弦が、
前夜に、不在連絡票が、Amazonから、父宅に入っており、
父:「やっぱり家に居らなぁ、受け取れんのと違う?」と、
Amazonという文明が入り込む余地など無いと、
本当はさじを早く投げたいと見受けられる父に、
私:「大丈夫、大丈夫、明日、時間指定して、再配達の手配するから。」
と言って、
その日(10/23)に、再配達の手続きを。
翌日、10/24に受け取るため、五色沼の予定により、時間指定はどうするか、というわたしからの問いに、
17:00には家に戻れると言う 父の言葉を受け、
私:「じゃあ、18:00〜20:00」にしとくね。」
と父に告げると、
父:「6時(pm)なら、間違いなくもんてきちょる(帰ってきてる)!」
と、言いつつ、
まだ、Amazonという画期的なシステムを信用できず、少々不信感を拭えていない父であった。

( ・・・が、前回まで。)



朝ごはんは、昨晩の父の作ったすき焼きを食べ、
予定通りのam8:30 くらいに父の車で、父宅を出発。
福島県の浜通りから、中通り、山の方へと向かった。

本日行くのは、五色沼というところらしい。
旅好きでもないわたしも、父が、盛んに
父:「五色沼」、「紅葉」、というワードを連呼するので、予習はしていた。
かなり期待大。

道中、父が、
父:「杏ちゃんに貰うた、あれ、誰やっけ?竹原?」
私:「竹原ピストルさんね」
父:「そうそう、それ、お父さんの車に入っちょるで。笑  聞くかい?笑 あれ、なかなか面白いね笑」
と、
私:「せやろ。」
と言うと、
父は、わたしが6年ほど前の父の誕生日に贈った、
竹原ピストルさんの、アルバム「復興の花」の、しかも、アルバム一曲目から流すと思いきや、
「チェリーボーイ まこっちゃん」
を 選び、おもむろに流し始めた。

ピストルさんの、チェリーボーイまこっちゃんを聴きながら、
わたしと父で、ケタケタ笑って、
父:「おもしろいね!笑」
私:「ええ歌やろ、お父さんのテーマソングにすれば?笑 まこっちゃんやし。」
父:「えぇ〜、、」
私:「福島県にもさくらんぼ農家あるんやね、」
父:「あるある!さくらんぼも、りんごも、桃も、福島県はいっぱいあるよ、けんどほれ、原発事故があったけん、もう、"福島県産"ってあったら売れんなってしもーたがよ。」
と、
別の意味でリアル チェリーボーイまこっちゃん こと、
毎年、夏に、家族中に「山形のさくらんぼ」を送り続けている父は話した。
私:「え。じゃあ、お父さんが送ってくるさくらんぼって、本当は福島県産のさくらんぼ?」
と、
わたしが訊ねると、
父:「あれは、山形の。お父さんが毎年買うけん、安くして貰うちょうんよ。」
私:「へぇ〜、、なーんだ。」
結局、マジでちょっとこの人(我が父)バグってんな、
と、思った。
竹原ピストルさんの、「チェリーボーイまこっちゃん」が終わると、
父は、その一曲のみで音楽を消し、わたしはその意味不明な行動に、ますますゾッとしながらも、
私:「この(竹原ピストルさんの歌の)、まこっちゃんのさくらんぼ農家ってどこにあるんやろね?
会ってみたいね!笑」
と言うと、父は、
父:「ほんまやね、、今も福島のどっかに居るなら会うてみたいね。笑」
と、
内心、チェリーボーイまこっちゃん を、実の父と一緒に、
しかも、"まこっちゃん"という仇名である父と聴く時空間というのは、少々、キツイ。

福島県の南相馬市からの山は遠く、昔話の山のように山並みと、そのまた向こうの雲の向こうに山並みがあった。

どんどん山へ向かって車は走り、遠かった山が近づいてくる。

昨日見た、南相馬市歴史博物館の、野馬追いのお祭りの話になり、
父の働く職場の、係長さん(父より年下の方らしい)は、津波で家が流されたが、今は福島市に家を建て、野馬追いの馬も飼っているそうだ。
私:「ヘェ〜、野馬追の祭り、見てみたいなぁ〜」と言うと、
父:「夏やし、暑いで。」
私:「あー、そっか、、」
(※わたしは、夏はテンションだださがり故に残念)
私:「お父さん、野馬追のお祭り見たことあるん?」
と訊ねると、
父は、野馬追のお祭りの期間は、大きくない道路は馬が歩くから道路規制がある事、
そして、そこら中に、馬糞と車道には、その馬糞を踏んだ車のタイヤが馬糞を道路に塗りたくる現象が起こるのだと話してくれた。

わたしが、
私:「沼と、湖の違いって何なん?」
と、父に訊くと、
父:「何やろね? 後で調べてみよ。」
だの、
私:「ねぇ、なんで、ナントカ町(チョウ) と ナントカ町(まち)って、読み方あるん?」
と、父に訊いてみると、
父: 「何でやろね?後で調べて。」
と、アホ同士のくだらない会話を経つつ、

トンネルを抜けると、福島県の浜通りとはまた全然違った盆地の風景に変わった。

流石に県庁所在地、びっくりドンキーもあったし、田舎風景からちょっとした街中へと風景は変わった。

父:「ここが福島市」。
父: 「あの高い建物が、県庁」、
と、父のガイドが始まった。

そして、
父が震災後、福島県へ仕事で行き、初めて住んでいた福島市に入ると、
父:「あのアパートが、お父さんが福島での最初に住みよったとこ。」
と、説明された。

何せ、もう彼此8年ほど、高知県から単身赴任してきて、
初めてやっと、家族の誰かが(わたしが)、福島県に来たのだから、別にこちらは訊いていなくとも、
父は、" 福島でしっかりやってるぜ!"
と、言うことを、
自分を知る誰かに、特に家族に、とにかくよく知って欲しいのだろう。

父:「この川が阿武隈川」

父:「この辺が、お父さんの職場の係長の家があるところ。津波で流されてしもうたけんど、頑張って福島市に家建てて家族みんなで暮らしよう。」
 
父:「あの、向こうに見えちょるのが磐梯山。活火山で、今、レベル2になっちょる。」

私:「えっ!あの穴開いてるやつ? 火山なんや、ほんまや、火山っぽい!」(←アホ)

噴火したらヤバいよね〜、などと、
当たり前の事を話しながら、



暫く行くと、また長閑な田畑や
りんご畑、桃畑、周囲は山並みに囲まれ、
斜線も二車線の風景になった。

道路沿いには、
りんごや、ぶどうの農家さんの果物の直営店が増えてきた。

わたしがりんご畑を見ていると、
父が
父:「帰りに寄ってりんご買うで帰ろか。」と。

そして、周りの樹木の紅葉具合を見ながら、
父:「今日は紅葉も良さそうやなぁ、、天気もええし、五色沼の後、スカイラインにも連れていっちゃろ思いようがやけんど、」
と、
言う父に、わたしは
私:「うん、、時間と体力が余ってたらでええよ。行けたら行こう。」
と、
実は、福島市に入って、既に2〜3回は、道に迷っている父に期待を持てるほど、
ダテにこの人(我が父)の子をわたしは生きていないのだ。

父も、
父:「うん、行けたら行こか!笑」。

・・・いつものオウム返しである。・・・

五色沼に到着したのは、更に、山道を2〜3回 道に迷って、
周りにはおそらく五色沼へ向かっているのであろう、車や、バイク、バス などが増え、
途中の紅葉の山道で、降りて歩いたり、写真を撮っている観光客の人々が見受けられているのにも関わらず、
そう言った人達がどんどんいなくなってゆく山道などを経て、
想定内約1〜2時間遅れの予定時刻に、五色沼の観光案内所を見つけて、そこでトイレ休憩と、
五色沼へのルートを訊ねることにした。

小雨が降ったり止んだりしていたが、普段引きこもりのわたしには、こんなに人間って同じ場所に集まるもんなのか〜、
というほど、人混みとは行かずとも、主に関東、東北 ナンバーの車で駐車場はいっぱい、
随分、人が居るなぁと思っていると、
そこが紛れもなく五色沼だった。

通り雨が止むまで、数分間、
父:「杏ちゃん、五色沼、此処やったね!笑」
と、
五色沼のルート地図を父の車内で見ながら、
私:「結構、人多いね〜、」
父:「明日が混むと思うて今日来たんやろう、みんな考えることは同じよ。」
と、
久々に、観光をしたわたしは、
私:「あー、せやった、、みんな考えることは同じなんやった、、」
と、言って、観光というものを思い出していた。

通り雨も止み、
青空も見えてきたので、車から出て、
五色沼巡りが始まった。

最初に、入り口か、出口かどっちかのお土産屋さんがあり、
父が、
父:「ちょっと見ていく?」
というので、
私:「うん」
と言って 立ち寄った。

お土産屋さんの入り口の、小さい松や、紅葉だかの、可愛い植木のお土産をもっと見たく、
あわよくば、一番欲しかったのだが、
父が早足でスルーするので、無念を残しつつ、
お土産屋さんでは、父が、喜多方ラーメンを買ってくれた。
わたしは、福島県への旅の予習で見た、
赤べこ を見つけ、
マスクの下でニヤニヤしながら、
「これかぁ〜、」
と、
特大、大、中、小、各サイズの赤べこの ヘドバンを観ていると、
父が来て、
父:「これ、お父さん買うちゃるけん、どれか選んだや」
と、意外にも、
絶対に「そんなもん要らんやろう」と、言われると思っていたので、
わたしはとても嬉しく、どれにするか迷っていると、
父が横から、
父:「この派手なやつにしたら?ほら、小槌も着いちょうし、」
と言ってきて、わたしが、
私:「いや、こういうのはそのまんまのがええから、、」
と、
中サイズか、大サイズ で迷っていると、
父が、
父:「この一番でっかいやつがええんやないか?」
と、
幼い頃、花火大会や、夏祭りなどの出店で、絶対欲しくなるピカピカ光る装着系のおもちゃや、
ファミレスの出入り口にあるおもちゃは、
断固として買っては貰えず、その割り、
幼心に、わたしは
「じっとして食べることも出来ないからまともに味もわからない、冷静に考えて、雰囲気にのまれているだけで値段の割にそこまで美味しいとも思えないのになぁ」と感じていた、出店の食べ物に関しては、惜しまず買って食って居た家族に育ったため、
まさか、此処で、父が、わたしが自腹だったら買わなかったであろう、
赤べこ、しかも、派手なのや、でけぇのを勧めて買ってくれると言っているので、
「あ〜、父も老い先短いんだなぁ〜、」
などと思いつつ、染み込んだ遠慮性と、
わたしのごちゃごちゃした部屋では、せっかくの赤べこにもなんだか悪いので、
中サイズの赤べこを選択。
父:「ほんまにこれでええかい?」
と、
何故か、此処に来て、赤べこを推す父に
私:「うん。それがいい。」
と言って、買ってもらった。

父の会計中、本当は、植木や、苗木が欲しかったが、やはり遠慮性により、言い出せず、
とりあえず、急いで、別のレジで、赤べこのキーホルダーを一つ買った。






そしてようやく、五色沼散歩が始まった。





福島への旅 ⑥     に、続く


aune

2020/11/05