林間学校へは

行けない事を



担任の先生に

話した日




家に帰り

母親へ


玄関から

報告した



「林間学校の事」
 
「ちゃんと
 言われた
 通りに………」

「先生に
 言いました……」



すると

母親は



「先生は
 何て
 言ってた?」




玄関の

上がり口まで

来た



「わかったって」

「良い
 お母さん
 だなって……」
 
「お母さんに
 感謝
 しろって
 言われました」



私が言うと



「そう!
 良かったわねー♪」



母親は

笑顔で言った



母親が

私に向かって

笑顔を見せた!



驚いたと

同時に


怖かったのを

覚えている



母親から

やっと


私に

向けられた



私と

二人きりの


時に

見せた



初めての

笑顔は

怖かった



母親に

笑いかけて

欲しい!



誰かが

居る場所での


外面を

気にしての



嘘の

笑顔ではなく



誰も

居ない時に


笑いかけて

欲しい!




思っていた



私の願いが

一つ叶った

日だったが



母親の

その


笑顔は

怖かった





翌日は

確か



土曜日だった



思う



林間学校へ

行けない

事が



決定した

上に



給食が

無いのに


学校へ

なんて



行きたく

ないなぁ




思った

記憶がある



それに

新しい


出会いが

あったから



記憶に

あるのかも

知れない



いつも通り

学校へ行く




以前の

ブログにも

書いたが



私の

通っていた


団地内の

小学校は



1~2年生
3~4年生
5~6年生



二年毎に

クラス替えがあり



担任の先生も

二年毎に

変わる




5年生からの

担任の先生は


若い

男の人になった



体格は

スラッと

していて



顔は……



私が

もっと


大人に

なってから



あっ!


思ったのだが



男子バレーボール

元日本代表選手の


中垣内祐一さんに

ソックリな



見た目は

爽やかで



女の子に

モテそうな

先生だ



20代後半

くらいの

歳だろうか



実際

クラスの


女子に

好かれていた



私は

給食以外に


興味が

無かったが



林間学校へ

行けない事を


伝えたり

したので



少し

関わって


しまった

だけだ



だが

その



爽やかな

担任の先生の

言葉で



私は

クラス内

での



透明人間



ような

存在から



引っ張り

出されて

しまう………




朝礼の時間



先生と生徒との

挨拶を

終えると



爽やかな

担任の先生は

言った



「皆に
 聞いて
 貰いたい
 話がある!!」



私は

まさか………と


思って

いたが



予感は

的中した



「○○(私の苗字)
 なんだがな?」


「林間学校へは
 参加
 出来ないんだ」



爽やかな

担任の先生が

話すと



クラス

全体が

ザワザワした



「ほらっ!!
 静かにしろ!」



爽やかな

担任の先生が

言い



クラス

全員が


静まり

返る



「○○(私の苗字)はな?」


「バス
 酔いが
 酷くてな?」


「薬を
 飲んでも」


「長い時間
 バスに乗ると
 体調が
 悪くなって
 しまうんだそうだ」


「○○(私の苗字)
 本人も
 行けなくて
 可哀想だが」

 
「皆
 わかって
 やってくれな!」


「林間学校の
 支度や
 調べ物の
 作業をする
 時間には」


「○○(私の苗字)には
 先生の
 お手伝いを
 してもらうから!」


「皆
 わかったか!?」



クラス全員

黙って

聞いていたが



パラパラと


「はーい」



言っていた



先生は

何で



言うんだろう……



悪気が

無いのは


子供ながらに

感じたが



クラス

全員の

ざわめきに



嫌な

予感がした



一時間目の

休み時間


嫌な予感は

的中した



「○○(私の苗字)
 ってさぁ?」
 

「遠足の時に
 バス
 乗ってたよな?」


「私
 ○○(私の苗字)さんと
 同じ
 クラスだった事
 あるけど
 乗ってたよ!」



私は



「遠足の時は
 薬を
 飲んで
 なんとか
 なったけど……」


「何時間も
 沢山
 バスに乗ると……」
 

「気持ち悪くて
 どうにも
 ならなく
 なっちゃうの………」




母親の

シナリオ通りに

言ったが



「本当かよ?」


「何か
 おかしくねぇ?」


「おかしいよねー!」


「もしかして
 コイツん家
 さぁーー!?」
 

「林間学校の
 金
 無いんじゃねぇ?!」


「あーっ!
 そうだよ!
 だってさぁ………」



クラスの

人達が

目配せした



「○○(私の苗字)!」


「ずっと
 言わなかった
 けどさぁー?」


「いつも
 汚くねぇ?」


「そうそう!」


「私も
 言わなかった
 けど
 臭い時
 結構
 あるよねー!」


「風呂
 入ってんの?」


「てか
 風呂
 あんの?
 お前ん家?」


「団地だから
 あるよー!
 家も
 あるもん!」


「じゃあ!
 金ないから
 林間学校に
 行けないでー!」


「風呂も
 入れないのか!」


「お前ん家
 父ちゃんが
 運動会に
 来てんのよー?!」


「見た事ねぇー
 けど
 さぁー!?」


「本当に
 父ちゃん
 居るのかよ?」


「なぁ!!」


「何とか
 言って
 みろよ!!」



クラスの

人達が



次々に

色々と

言って来たが



私は

黙って


いるしか

無かった



「確かに
 臭い時
 あるけどさぁ……」


「もう
 いいじゃん?
 放って
 おけばさ!」


「そうだな!」


「林間学校に
 行けなくて
 可哀想にな!!」


「これ
 プレゼント
 してやるよ!!」




男子が


私に

投げつけたのは



掃除用具

入れにある


臭い

雑巾だった



休み時間が

終わり


先生が

入って来る



何も

無かった

ように



席に着く

クラスの

人達



土曜日は

午前中の


三時間目で

終わる



それまで

我慢だ


泣いては

ダメだ!



私は

帰る時間が



早く

来る事

ばかり



考えた



運悪く

二時間目は



林間学校へ

向けての


作業の

時間だった



爽やかな

担任の先生に


手招き

され



教室内に

ある


先生専用の

机の脇に



自分の

椅子を

持って行く



クラスの

人達が

まだ



囁いて

いるのが


耳に

届いたが



先生に

言われた

お手伝いをした



途中

爽やかな

担任の先生が



「なぁ!
 ○○(私の苗字)!」
 
「元気出せ!」
 
「お土産
 買って
 来てやるし!!」



言いながら



私の

両肩に



両手を

ポン!と

置いた



その時

私は



目の前が

真っ暗に

なって





気付いたら

保健室の

ベッドで



横に

なっていた



「私は
 どうしたん
 だろう??」



呟くと



「気が
 付いた?」
 
「私は
 保健室の
 ★★よ!」
 
「宜しくねー!」




白衣を着た

女の人が



私の

傍に来て

言った



保健室の

先生?



確か

もっと………



オバサン

だった


気が

するけれど………




思いながら


不思議そうに

見ていると



「あっ!」
 
「前まで
 居た
 △△先生はね?」

「辞められたの」

「私が
 この
 学校にねー」

「バトンタッチ
 して
 来たのよー」



教えてくれた



そして



「二時間目の
 授業中にね?」

「あなた
 倒れて
 運ばれて
 来たのよ?」
 
「多分
 貧血だと
 思うけれど……」
 
「気分は
 どうかな?」



正直

怠くて


頭も

痛かったが



「三時間目は
 終わり
 ましたか?」



尋ねると



「さっき
 始まった
 くらいかしら?」
 
「今日は
 もう少し
 休んでから
 帰りなさいね?」

「私から
 担任の先生に
 言って
 おくからね!」

「家に
 お家の人
 誰か居る?」
 
「電話して
 迎えに
 来て貰おうか?」



言われたので



「お父さんは
 仕事で
 居ません」

「お母さんは
 具合が
 悪いので」

「寝ていますから
 自分で
 帰れます!」



言って


誤魔化した



保健室の先生は



「そうなのね……」

「あっ!
 ちょっと
 待っててね!」



言い



なんだか

カチャカチャ

していた



また

横になって


しまった

私に



「これ
 冷たい方が
 いいかと
 思ったけど」

「今の
 あなたには
 温かい方が
 いいと
 思って………」

「さぁ 
 ゆっくり
 飲んでね?」




甘い香りがする

飲み物をくれた



一口啜る



美味しい!

なんて

美味しいんだろう!



身体の

奥底が

温まる!



私は

感激し



保健室の先生に



「これは
 何ていう
 飲み物ですか?」



尋ねた



「牛乳
 たっぷりの
 ココアだよー♪」
 
「喜んでくれた
 みたいで
 良かった!」
 
「他の
 生徒には
 内緒だよ?」



保健室の先生は


笑顔で

言った



ココア………



その時は

魔法の飲み物の


ように

感じた



ココアを

飲み終わり



保健室の先生は

真剣な顔で


私に

尋ねた



「ねぇ?
 あなた………」
 
「何か
 苦しくて
 助けて
 欲しい
 事はない?」



初めて

言われた



その

言葉は

温かく



初めて

飲んだ

ココアで



身体の中から

温まっていた

事もあり



つい

家の事や

生活の事



今まで

誰にも


言えなかった

事を



言いそうに

なったが



母親の

顔が


脳裏に

浮かび



「ありがとう
 ございます!」

「大丈夫です!」



言った



保健室の先生は



「本当に?」

「実は
 あなたの
 腕と首の
 痣や傷が
 気になって……」

「担任の先生が
 居なく
 なってから」
 
「背中を
 少し
 診せて
 貰ったの………」



私は

母親に

連絡をされて



玄関の子

ですら



なくなって

しまうかも

知れない! 




母親を



恐れる

気持ちが

あったが



今まで

周りの


大人は





見える

部分の



痣や傷が

増えて

いっても



外面の

良すぎる

母親の



口車に

乗せられ


見て見ぬ

振りをして



気にも

して


くれなかった

のに



この

新しく

来た



若い

女の人の

保健室の先生は



私の

身体の



異変に

気付いて

くれて



背中まで

診て

くれたんだ………




嬉しかった



この

保健室の先生に


本当の事を

話したら



今の

生活から


逃げられる

方法を



考えて

くれるかも

知れない……




希望の光が


見えた

気がしたが



「大丈夫です!」

「外で
 遊んで
 ばかりいて」
 
「痣や傷が
 ついちゃう
 だけ
 ですから!」



自ら



初めて

差し出して

くれた



救いの

手を

手放した



やはり

あの



母親の

手に

かかったら



保健室の先生

だって



丸め込まれて

しまうのでは

ないかと



素直に

助けて欲しい!



言えなかった



でも

私の事を


心配して

くれる



大人も

居るんだ………




温かい

気持ちに


させて

貰えて



感謝していた





あの時

保健室の先生に


本当の事を

話したら



あの

母親から



解放

されて


いたで

あろうか




今は

虐待がーと


騒がれている

時代だから



当時の

私の


痣や傷を

見たら



きっと

病院や


児童相談所

等に



通報

してくれ



連れて

行って


貰えたかも

知れない




だが

私が


小学生の

時代に



果たして

助けて


貰えたの

だろうか



当時の

私でさえ



虐待

という

言葉は



耳にした事

すら


無かった

時代だ



多分

保健室の先生が



何処かへ

通報して


くれたと

しても



外面の

良すぎる

母親に



連れ戻されて



殺されて

いたかも


知れない

気がする





授業中に

倒れた

原因は



それから

もっと

もっと



大人に

なった

時に



解明

されるの

だが



長年の

度重なる


母親からの

仕打ちと



クラスの

皆からの

口撃の中



耐えていた

私に



担任の

男の

先生が



私の

肩に


手を置き

触れて



4年生の

時に


大人の

男の人から



乱暴

された

事が



無意識に

フラッシュ

バックして



私に

トドメを


刺したので

あった





当時の

私は



そんな事は

まだ



わからないで

いた