● マイナスイメージがあるビジネスの思考実験 その2
前回の記事では、今私が思考実験中のビジネスモデルについてのお話の導入として、嫌われがちな2種類のビジネスについて書きました。
今回はそれぞれのビジネスの嫌われる理由について言及していきたいと思います。
まずマルチ商法が嫌われる要因について、私が考えるものとしては大まかに
・コミュニティが制限され抜け出せなくなる
・マルチ商法のコミュニティの中で明確な序列が生まれる。
・厳しいノルマが課される
・人間関係を切り売りする
などなど
という感じに考えています。
コミュニティが制限され、明確な序列が生まれるというのはある種マルチ商法の本質というよりは、このビジネスモデルを効率的に回すために人の心理につけ込む手法が採用されているというような事である気がしています。
過去の記事にも書いたように、私の考えるマルチ商法のゆがんでいる所は「利益の元が商品の売り上げではなく新規入会者の入会金」である事です。
最終的に会員が増えて、商品の売り上げのみで経営が成り立つのならばそれでも構わないという事もあるのかもしれませんが、成長率を考えるとどう頑張っても安定に至るまでの過程で必ず実績が落ちてくる部分があります。
とはいえ永久に成長し続ける事業があるはずがないので、先細りしてから安定するという事自体に問題があるとは思いません。
ただ、商品を作り販売するのに必要な経費がなく、紹介に伴うキックバックを加味しても圧倒的な利益が出てくることを考えれば、人の紹介の方に力が入りやすくなるのではないかと思えるのです。
商品を売るために人を紹介するのか、人を紹介するために商品を餌にしているのかみたいな話で、全く同じ商品力でも結構毛色が変わりそうな話だと思います。
厳しいノルマが課されるというのもつまりはそういう事で、商品を買う客を得たいのではなく、入会金を払ってくれる顧客の獲得が目的であるのならば、それは紹介の方にノルマがかかるだろうという事ですね。
そして、「人間関係を切り売りする」と言われてしまうのは、紹介者と紹介を受けて入会する人の間に明確に序列が生まれてしまうことに原因があります。
紹介した人には紹介した人数分の報酬があり、システムによっては紹介した人が別の人を連れてきた実績も大元の紹介者に加算されます。
詳しくは以前書いた記事を参照していただきたいですが、「友人というフラットな関係を明確な序列に変える」ということでもあるので、相手からすると不快に感じる可能性が高いという事になるのです。
これもマルチ商法を「ビジネス」と捉えるか「商品を買う窓口」と捉えるかでだいぶ印象が変わってしまう所でもあります。
紹介者も紹介された人もビジネスと捉えていると、友人関係が競争関係かつ序列がつくので関係は崩れやすいでしょう。
紹介者がビジネスと捉えていない場合は両者ビジネス目的よりは軋轢は生まれにくいでしょうが、紹介された人がビジネスのつもりで頑張った分が紹介者の実績になることで疎ましく感じたり、最初はビジネスとして考えていなかった紹介者の気持ちが変わったりする可能性もあります。
そもそも本来のシステムが、ビジネスとして稼ぐ事に向きやすく作られている以上、仮に両者ともに最初は「商品を買う窓口」と捉えていても、どこかでビジネス目的の感情が芽生えたら摩擦が生じ始めると考えた方が良いでしょう。
マルチ商法は「人を紹介すること」重きを置くほど危険という事です。
今回はマルチ商法について、次回は転売について書いていきます。
