● みんな疲れている

 

 今回の記事はちょっとブラックよりのお話ですが、一見華やかな世界の闇が漏れ出しているなと感じた事をお話ししたいと思います。

 

 皆さんはYouTubeでどのような動画を見ていますか?

 

 様々な動画配信者、様々なジャンルがありますので、ご存じない方も多いでしょうが、一部アクション好きや武道愛好家の間で「達人YouTuber」という界隈が形成されています。

 

 ちょっと格闘技とも違うのですが、様々な武術の指導者クラスの人同士で技術の紹介などのコラボレーションをしてるんですね。

 

 システマ、ジークンドー、極真空手、零距離戦闘術などなど…

 

 そこそこ多いので全部に目を通しているわけでもないんですが、見せられる範囲の技術とはいえしっかりしたものを見れるので、たまに見るとなかなか面白いんですよね。

 

 おそらくなんですがこれも広報活動の一環なのでしょう。

 

 大きな流派に関しては本当のトップが出てくるのではなく、師範代というか、そこそこ上の実力者が出ることで格も感じさせつつ、下手なことをしても流派そのものの痛手にはならないという感じでうまくやっていると思います。

 

 だいたいコロナが始まったあたりから個別の活動が観測され始めましたが、ここ一年経たないくらいで活発にコラボレーションを見るようになりました。

 

 こういった流儀を超えたコラボレーションはなかなか画期的なのではないかとも思います。

 

 いや、昔から異種格闘技戦のようなものはあったのですが、この達人YouTuberの特異的なところはそのユルさにあります。

 

 バチバチな雰囲気ではなくお互いの技術を見せて凄さを認め合うという感じが非常に好ましいです。

 

 私が所属している空手から独立した人もコラボレーションしていましたし、かなり前に紹介したアクション俳優の坂口拓さんもコラボレーションしています。

 

 今まで知らなかったような一子相伝の武術の継承者なども出てきたりしますが、そういった人たちともフラットな感じでワイワイと楽しそうにやっています。

 

 現代社会において必要性が薄れつつあるともいえる武術を親しみやすくするという意味で非常に良いものだと思っています。

 

 ただ、そういった達人界隈で最近「ちょっとどうかな?」ということが起きました。

 

 それは「空手でもない流儀の人が勝手に既存流派の空手の”古式”というものを認定する」という事件です。

 

 詳しく説明していきましょう。

 

 事の発端はその達人YouTuber界に新たに加わったメンバーと比較的界隈の中心に居ると見られるシステマの人がコラボレーションした時のことのようです。

 

 システマの人はコラボレーションした仲間に親しみをこめてキャッチフレーズ的なものをつけるそうなのですが、そこでコラボレーションした人に「古式剛柔流」というキャッチフレーズをつけたのです。

 

 そのコラボレーションした人は坂口拓さんのようなアクション俳優で、もともとプロフィールには「古流空手」とはあったようですが、これを機に映画の宣伝などで「システマの○○先生に名付けてもらいまして…」とエピソード付きで名乗るようになってしまったのです。

 

 これを見たときにまあ何と言いますか「やらかしてんなあ」と思いました。

 

 この「古式剛柔流」という言葉、空手好きの中でもさらにマニアックな人にしかわからない滑稽さがあるのですが…だいぶ長くなるので続きは次回に回します。

 

 前フリが長くなっていますが、ざっくり結論を言うと「みんな疲れて細かい気配りできなくなってるよ!」なので、みなさんもご自愛くださいね。