● 空手の日✕2

 

 久しぶりに空手備忘録です。

 

 先日地方より別の支部の稽古会長が遠路はるばるいらっしゃり、稽古をつけてくださる機会がありました。

 

 滅多にない機会ということで朝昼晩を2日間ほぼ合宿のような空手生活をしてきました。

 

 かなり深い指導をしていただいたので、さすがに全てはここに書ききれませんが、印象に残ったことを書いていきます。

 

 いきなり余談から入りますが、まず感じたのは指導方法の違いの面白みでした。

 

 その稽古会長は今の空手を始める以前に結構深く中国武術を学んでいたこともあり、姿勢や重心の動かし方に関してかなり細やかな分析をなさっていました。

 

 以前書いた記事にもありますが、中国武術はある意味で科学のような膨大な分析の積み重ねをするため、注意点もかなりたくさんあるのです。

 

 

 対して空手、少なくとも私が所属するところに関していえば、実戦でいくつもポイントを考えていられないので大事なポイントを多くても3つだけ教えるというような感じになっています。

 

 イメージとしては、同じ立ち方の説明をした時に、空手は足幅、ひざの張り、背筋の伸ばしくらいの説明ですが、中国武術では頭はどの位置にあるか、首はどう伸ばすか、背中と胸の開き具合、 肩の落とし方、腰の丸め方、股関節の緩ませ方、等々大量の注意点があります。

 

 これはどちらが優れているというような話ではありません。

 

 実はどちらの方式で練習するにも出来るようになるには繊細な感覚が必要になるのは変わらないんです。

 

 一見すると空手はのほうは大雑把なポイントしか渡されていないように思われますが、これは最低限の要訣に集中して、あとは自然に良いポジションに収まるようにするという方式であるとも言えます。

 

 少しでも無理な姿勢になっていないか繊細に感じるということは、中国武術の細かい要訣を一つ一つ意識するのと変わらない高度な感覚が必要といえるのです。

 

 そういったわけで、私自身が今まで受けてきた指導法も正しいのですが、今回の中国武術的な考え方を入れてもらったのは新たな視点を得ることに繋がったので非常に良かったです。

 

 で、肝心の内容に関して、大事な要素はいくつもありましたが、一点特に記憶に残った話をすると、求心力と遠心力の考え方でした。

 

 元々投げに関してはこの求心力と遠心力の説明をされていましたが、捕り手や打撃にも応用できる事が分かったのは非常にためになりました。

 

 あくまで私の観点ではありますが、投げよりも捕り手の方がこの求心遠心は分かりやすい気がします。

 

 手をつないだ状態で相手を引っ張ろうとすると相手に抵抗され、体重が重い方が勝つだけですが、手をつないだ状態から自分が釣り合いを保ったまま、自分が前に出ながら引っ張ると相手も前に出てくるというようなことが出来ます。

 

 投げだと遠心力は感知しやすいものの、求心力に関してはお互いがぶつかりに行くため感じにくいなと思っていました。

 

 捕り手だとこれを求心と遠心を前後の足に仮託してかつ完全に接触しない範囲で行うのでわかりやすくなるのです。

 

 ただ、これも正しい姿勢が出来ていることが前提となる話ですね。

 

 捕り手に関してなどかなり学びが深まったと思いますが、実戦が出来たり出来なかったりはそこに由来すると思います。

 

 精進します。