● R-1! その2

 

 前回の記事では、先日開催されたお笑い賞レースの一角であるR-1グランプリに関して、個人的にアツかった展開やネタの振り返りをしていました。

 

 

 サツマカワRPGさんのネタに関しては、点数はもっと高くても良い気がしましたが、まあ元R-1王者の野田クリスタルさんからの称賛を得たのでまあ良いとしようという事で、少し個人的に不満があるという評価としてはYes!アキトさんでしたという所で終わっていたので続きです。

 

 ショーレースで全員の点数をつける以上誰かが最下位になるのは仕方ないことではありますが、それでもYes!アキトさんではないだろうという感覚は個人的にありました。

 

 リアルタイムで視聴していた時は審査員のハリウッドザコシショウさんの「ギャグの羅列では厳しい」という講評にぐぬぬとなっていましたが、これはこれで含蓄のある話だなと、今となっては思えます。

 

 Yes!アキトさんはギャグのみの芸風で単独ライブなどもこなしています。

 

 それが成立しているということは、それだけの力をもっていると言えるのですが、その力をR-1の舞台で十全に発揮できるかというと話が変わってきます。

 

 R-1の講評においてハリウッドザコシショウさんは「構成をしっかりしたほうが良い」という話をしていました。

 

 ハリウッドザコシショウさん自身がR-1 に挑んだ際はギャグの羅列に近い状態でありながら、ものまねという縛りを入れてある種の繋がりを作ったそうです。

 

 確かに、人は何かしら繋げてものを考えたくなる生き物ですから、なんの脈絡もないギャグの羅列よりは、繋がりのある話の方が評価が良くなるのだと思います。

 

 ここで、Yes!アキトさんのネタを単独ライブで見た時の事を考えてみましょう。

 

 R-1 の3分という時間の縛りに比べ、単独ライブは同じギャグの連発形式であっても圧倒的にギャグの数を入れられることになります。

 

 そうやって大量のギャグを見ると、その中にうっすらと「Yes!アキトのネタはこんな感じ」という認識をお客さんに植え付けられるのです。

 

 ディープラーニングの如く大量のギャグから「らしさ」を抽出してもらうわけです。

 

 では短いネタでは厳しいのかと言われると必ずしもそうではありません。

 

 ショーレースとは関係なく普通に様々な芸人が出場するライブであった場合、漫才やコント等他の形式のネタの中に「ピン芸」の「ギャグ連発」という全体の構成から見たときに特殊な形式になることで個性が光るのです。

 

 本来であれば持ち味はいつも何らかの形で活かせるはずではあるのですが、R-1というショーレースが実は一番Yes!アキトさんに取って不利な場所になるのです。

 

 まずはじめにR-1がピン芸人のための舞台であること。

 

 先程「ピン芸」と「ギャグ連発」という普通のライブでは光るとした個性のうちの一つが潰されてしまいます。

 

 さらに言えばショーレースであるために「なるべく審査員はフラットに見ようとする」ということで「全体の構成の中で個性を光らせる」という戦略にも不利な状況が生まれます。

 

 そして3分という短めの時間。

 

 これによって大量のギャグを放出して「らしさ」を見せる戦略も封じられます。

 

 これらを総合して、R-1の舞台はYes!アキトさんにとってかなり実力を発揮しづらい環境だったのだと私は思いました。

 

 そりゃ構成をつけて繋がる見せ方をとも言われるでしょう。

 

 しかし、考えてみるとその劇的不利な状況で本当に「ギャグの真っ向勝負」だけで決勝まで切り込んでいったのが凄まじい話でもあるとも思いました。

 

 「ギャグの羅列だけでは厳しい」と言われたとして、逆に「ギャグのみで」R-1を取れる芸人が居るとしたらYes!アキトさんくらいしか居ないとも思います。

 

 来年このままギャグの連発で突き抜けるのか、構成を入れて完璧な作品を作り上げるのか、今から楽しみです。