● 共感覚と内部表現 

 

 今回の記事ではこのブログで気功について扱う時の定義「共感覚による内部表現の書き換え」についての言葉の意味の説明を致します。 

 

 「気功を始めたは良いが定義の理解が出来ているか気になって先に進まない」という初心者の方や「応用の為に理屈を確認しておきたい」という上級者の方の助けになればと思います。 

 

 まず初めに共感覚について、これに関してはテレビ等で昔良く紹介された事例もあるのでご存知の方も多いかと思われます。 

 

 テレビ等で紹介されているのは先天的に身についている「五感同士の結びつき」が多かったように思います。 

 

 音を聴いたら色が見えるとか、味に形を思い起こすという様な感じですね。 

 

 そういった先天的な共感覚の印象が強いと「自分には無理なのではないか」と思う方もいるでしょうが、ご安心ください。 

 

 気功の文脈における共感覚は感覚と感覚の結びつきというよりはもう少し広い意味で「感覚と情報の結びつき」という事になります。 

 

 少し分かりづらいかもしれませんが、例えば怖い話を聞いた時にゾッとする寒気がするというような感覚は誰しも経験があるのではないでしょうか? 

 

 これはその場の温度が下がったわけではなく、怖い話を聞いたことによる想像や心理的な変化という情報が触覚と結びついた「共感覚」という事になります。 

 

 次に内部表現について説明しましょう。 

 

 内部表現という言葉でネットの検索をかけると辞書的な意味の定義は出てきません。 

 

 主に認知科学を元にしているコーチングで使われる言葉であって一般的な言葉では無いという事です。 

  

因みに認知科学というのも、専門的な分野というよりはいくつもの分野に隣接した領域の研究の事を指すので、一般的な定義付けが難しいジャンルなのです。 

 

 これが非常に厄介というか、誰か先生につかずに独学をしようとする人の大きな足かせとなるポイントだと思います。 

 

 辞書的な共通の文言で示せる定義が無いと、「内部表現」という言葉を解説するサイトでも微妙に説明する人の重視するポイントの違いで説明の仕方が変わってきてしまうので本質を読み取りづらくなってしまうからです。 

 

 そういった厄介な言葉というのは意外と世間に溢れているものでもあるので、そういうものに関しては、「人によって説明の仕方が変わる」という認識を持った上でその人の発言の文脈で意味を解釈するという風に考えましょう。 

 

 という事で、このブログでいう「内部表現」の意味ですが端的に言うと「脳が認識している世界」です。 

 

 これは過去の記事にも少し書いたことなのですが、私たちは現実の世界をありのままに認識している訳ではありません。 

 

 目で認識している物は、目に入ってくる光を受けて視神経が興奮する事で脳で認識可能な情報に変換されているという事になります。 

 

 他の五感もそうです。 

 

 聴覚は音を鼓膜の振動から神経の興奮へ変換、嗅覚や味覚は化学物質を舌や嗅覚細胞の受容体で受ける事で神経の興奮に変換され、触覚も圧力や温感等に反応する神経が刺激される事で脳で処理できる情報に変換されるのです。 

  

そして、脳が処理して作り上げているのはそういった感覚だけではありません。 

 

 思考や感情、いわゆる心も脳が作っている物と言えます。 

 

 つまり、今私たちが認識している世界は脳が作り上げたバーチャルな世界であるとも言えるのです。 

 

 

 そして、ここからが認知科学という観点で見た時の気功のミソなのですが、人が認識している世界が脳内で構成されている物であるならば、物理的に変化を起こさなくても脳内の世界を変える事は可能なのです。 

 

 ちょうど先程説明した「怖い話を聞いて寒気がする」というのが好例ですね。 

 

 怖い話を聞いて寒気を感じるというのは情報と感覚が結びついた「共感覚」という現象であると共に、脳が認識する世界が恐怖や寒いと感じる場に変化した「内部表現の書き換え」とも言えるのです。 

 

 そしてこのブログでいう気功の定義「共感覚による内部表現の書き換え」は感覚と内部表現を任意の組み合わせで結びつけてコントロールするという風にも言い換える事が出来るのです。 

 

 その感覚と内部表現を結びつける方法については今後少しづつ記事を増やしていきます。 

 

 まずはこの世界の認識はバーチャルな物である事、感覚と情報は結びつくという事を覚えておきましょう。