芸術の秋とはよく言いますが、アマチュアオーケストラにおいても、9〜10月は演奏会シーズンと言えるので、そろそろ練習も佳境に入ってくる団体が増えてきます。

 

 そんな中で、来月本番を控えた団体の弦セクションの練習があったので参加してきたのですが、その中でもいくつか気付きがあったので共有致します。

 

 今回の気付きというかテーマを、音楽以外の分野でも通じやすいようにある程度一般化して題するなら、分野違いの人々を纏める為の立ち回り方ですね。

 

 状況を説明していきましょう。

 

 クラシック音楽において弦楽器を演奏する方がいれば、ある程度感覚として理解できるでしょうが、弦楽器でひと括りにされていても、それぞれの楽器には想像以上の隔たりがあったりします。

 

 例えば、弦楽器は演奏する時の構え方というか、人と楽器の位置関係で大きく2つに大別出来たりします。

 

 皆さんご存知ヴァイオリンや、それより少し低い音域を担当するヴィオラは楽器を顎のあたりに挟んで演奏しますが、チェロや、私が演奏するコントラバスはヴァイオリン・ヴィオラでは顎に挟む側の楽器の胴体を下に向けて構えます。

 

 左手に関して言えば、小指側を抑えると音がより高くなる、という点では共通しているものの、右手の動きで考えた時に高音の弦がある側、低音の弦がある側がヴァイオリン・ヴィオラとチェロ・コントラバスで逆転していることになります。

 

 そして大別した2つの中でも、チェロとコントラバスにおいてはサイズや調弦の種類も違いますし、チェロとコントラバス程かけ離れていなくともヴァイオリンとヴィオラのサイズの違いや弓の重さの違いも中々大きな差であって、安易に画一的なアドバイスは出来ません。

 

 そういった中で、今回の弦練を仕切ってくれたコンマスは、かなり適切な立ち回りをしていた様に感じました。

 

 最初に上手いなと感じたのは、足りない知識を変に取り繕わない姿勢が見えた所です。

 

 自分の楽器の特徴に合わせた指示出しをしてしまう、という事は往々にしてありがちなのですが、そういった感じにはせずに書くトップに奏法のアドバイスを聞くというスタイルは今回中々上手く行っていたように思います。

 

 まあある意味、トレーナーによる指導というわけではないので、各パートに細部を任せる方式は画期的と言うわけでもありません。

 

 しかし、それでも練習の進行がうまくいく要因として、100%でなくとも各楽器の知識はかなり高いレベルで持っているという所は大きかった様に思えます。

 

 チェロとコントラバスは全く同じ動きをする場面も多いのですが、前述の通り、サイズ感も大きく違うので、コントラバスの方が発音や歯切れに難があることはままあります。

 

 それでも同じ動きをしている時はチェロとコントラバスで纏められることが多い中、「コントラバスは発音の関係上弓順等はチェロに合わせなくても良い」というような指示も飛んできたのはさすがだなと感じました。

 

 そして、各楽器の指示の中でパートの技術によるものは、一度トップに弾いてもらい、そこから奏法を分析して欲しい音に向けた奏法の指示を出すということをしていました。

 

 これにより、その楽器の知識がトップ以上には得られないであろう立場においても、必要な情報を得て解釈することでより適切な指示が出来るようになるのだなと感じました。

 

 今回は音楽関連でしたが、分野を超えて組織を纏めるのには役立つスキルだなと感じました。

 

 指示出しの立場とはいえ気負い過ぎず、しかし知識は十分につけ、足りない情報はその場で導き出す。

 

 このマインドは役に立つと思います。

 

 応用してみてください。