前回の記事に引き続き、今回もある漫画を紹介しようと思います。
そのタイトルは
鬼灯の冷徹
この作品も前回紹介した聖☆おにいさんと同じく、宗教色の強いジャンルでありながらそれを感じさせないコミカルさを持っています。
物語の舞台は死後の人々を裁く地獄、死者の罪状を元に刑を裁定する閻魔大王の懐刀である第一補佐官の鬼灯が主人公です。
聖☆おにいさんがその名の通り聖なるものというか、天に属するものをメインに扱っているならば、その反対側の世界を扱っているとも言えますね。
この記事の執筆の為に軽くネットで検索をかけた所、ジャンルはダークファンタジー、・ブラックコメディとなっていました。
ブラックコメディは納得ですがダークファンタジーは言われるまで分かりませんでした(笑)
地獄と言えば往々にして恐ろしい場所、苛烈な責め苦のある場所として描かれつつ、全貌が示される事はあまりない印象がありますが、この作品では作者の方のかなり深いリサーチを元に(資料の無い部分はオリジナル要素を織り交ぜつつ)様々な側面が描かれています。
私自身地獄が八階層に分かれている所までは、別の漫画からの情報で知っていましたが、八階層に分かれている地獄が熱い方向に苛烈になる地獄と冷たい方向に苛烈になる地獄の二種類あり、更に各階層には16の小地獄が付随するので計272種類もの地獄が存在する等という事はこの漫画を読むまでは全く知りませんでした。
更に死後の裁判も閻魔大王様一人が行うのではなく、閻魔大王を含む10人の王たちが罪の種類や供養を元に刑罰を決めるという制度なのもこの漫画で知りました。
オリジナル描写として、地獄の仕事はアナログではあるもののシステマチックに構成されていて、新人の獄卒の研修はOJT方式だったり、責め苦を与える担当の獄卒の仕事は三交代制だったり、定期的に視察にいって現世の現状の情報をアップデートしたりといった現実でも通じそうな組織体制です(しかもブラックじゃない(笑))
所々挟まる作者の経験に基づく小ネタも面白く、万引きにあえぐ小売店オーナーの怨嗟だったり、はたから見ると中々分かりにくいトガった芸術家のジャンル分けの様な話も秀逸です。
また、宗教ごとの死後の世界観の違いは、聖☆おにいさんと近い形で、地域や信仰事でそれぞれの地獄があり、EU地獄の長であるサタンが閻魔大王と交渉の場を持とうとする場面などもあります(EU地獄ならアメリカはどうなってるんでしょうね?)
前回紹介した聖☆おにいさんと今回紹介した鬼灯の冷徹で、私はかなり宗教系の知識と興味が深まりました。
こういった下地が出来上がる事で、自力で学び始めるまでは行かなくても、何かそういった話を聞く機会があった時に理解しやすくなるのです。
どちらも軽い気持ちで読み始められる物なので、興味が湧いた方はぜひ読んでみてください。