前回はアウトプットとして捉えたマルチタスクについて書きましたが、今回はインプットに着目したながら作業についてのお話です。 

 

 さて、前回のおさらいとして、「人は一度に複数の作業を並行して行えるが、意識を向けられるのは一つのゲシュタルトだけ」というポイントがあります。 

 

 分かり易くするためにあえて極端な例を挙げるとするなら、映画を見ながら全く別の小説を読め、と言われてもそれぞれの内容を同時に頭に入れる事は不可能だという事になります。 

 

 ただ、最近はYouTubeの動画を流しながらテレビ番組を見たり、ゲームをしたりと、同時進行で何かをする人も多いでしょう。 

 

 しかし、そういった場合はどちらのインプットも中途半端になるというデメリットがあると言えます。 

 

 裏を返すと意識を強く向けるほどではない事を纏めて行う事で、何かに集中している時の様な一種の満足感というか、時間を無駄にしていない感覚を求めているとも解釈できます。 

 

 先程のゲシュタルトの話で説明するなら、意識を向けられるゲシュタルトは一つでもそのゲシュタルトの構成要素次第で情報量が大きく違う事が問題なんですね。 

 

 イメージとしては、へのへのもへじの絵を見ても、レンブラントの「夜警」を見ても見た枚数は1枚とカウントされているようなものだと思ってください。 

 

 同じ一枚の絵を見たと言ってもへのへのもへじの方は物足りないというか、せっかくならもっと情報量を埋めたいと感じますよね。 

 

 最近は、それだけ世の中が便利になったとも言えるかもしれませんが、それほど脳のリソースを割かなくても出来る事が多くなってきているので、余力を別の事に回したくなるのです。 

 

 しかし、何度も言う様に、意識を向けられるのは基本一度に一つです。 

 

 YouTubeを見ながらゲームをしている人を例に挙げるなら、ゲームを進めている時と動画を見ている時で意識が向いている物が切り替わっているだけで、実は同時進行というわけでは無いのです。 

 

 ながら作業でインプットを行う事を考えた時、意識が向いている部分からの情報が継ぎ接ぎになってしまうため効率が落ちるのです。 

 

 YouTubeを見ながらゲームをする人も、ゲームのストーリーが佳境になれば動画を止めて集中するでしょうし、逆もあり得るでしょう。 

 

 この様に意識が向く方向に着目すると、ながら作業にメリットは見いだせない様に感じますが、実は上手くながら作業でインプットが出来る場面があります。 

 

 それは無意識で行なえる作業と遮断しにくい情報によるインプットを組み合わせた時です。 

 

 例えば洗濯物たたみや洗い物等、慣れてしまえば決まった動作の反復作業で行なえる作業と同時進行で音声学習教材等の聴覚に働きかけるインプット法を使う事はかなり有効です。 

  

 聴覚はその性質上常に開かれている感覚と言えます。 

 

 視覚は指向性が強く、どこかを向く事でその方向の情報を拾う事が出来ますが、逆に言えば、向いていない方向からは情報を拾えません。 

 

 指向性が強いという事は、意識を向けないと情報が入ってきにくいという事でもあります。 

 

 対して聴覚は、全く指向性が無いかと言われればそうではないのですが、視覚と比べればかなり指向性は低く、そのかわり360°の範囲をカバーし、かつ、時を選ばず情報をキャッチ出来る体制を整えているのです。 

 

 このブログで度々出てくる「人が動物の様な生活をしていた時代」で考えるなら、何か目標物を補足するために視覚は用いられ、聴覚はその補助や周囲の状況を察知する為に用いられてきたのです。

 

 これが常に開かれている感覚である要因です。

 

 ただ、聴覚情報も脳での処理がされるため、取捨選択は起こるには起こります。

 

 ただ、目に映らなければ入ってくる情報も0になる視覚と違って、脳が無視するという選択肢を選んでも刺激を与え続けられるのが聴覚の強みなのです。

  

 この刺激が与え続けられるという性質は、意識が向く物が切り替わるという観点で見ても、切り替わった瞬間に何かしら情報が流れているので無駄がないですし、脳が意識に上げないだけで刺激は受け取っているので無意識への作用もそれなりに期待が出来ます。

 

 とは言え、やはり他の作業を行いながらでは、一度でインプットしきれないということは感覚として理解できると思います。

  

 意外とこれが大事です。

 

 過去の記事にも書きましたが、人間案外情報の取りこぼしが多いので、何度も取り組むことが大事なのです。

 

 小説や映画などじっくりと一周して鑑賞した後、余程ハマらない限り満足して読み返さないと思います。

 

  最初からちょっと物足りないなと感じて聞き返す方がかえってしっかりと学べる事もあるのです。

 

 この様に、ながら作業も、上手く使えばインプットに役立ちます。

 

 余談ですが過去の記事に書いた発見も動画配信を見ながら、自分は自分でゲーム内の作業をしていました(笑)

 

 ながら作業をする時は、せっかくなので惰性にならない良いものにしましょう。