さて、今回は単なる一空手マニアの勝手な想像で繋げた空手の型の変化についてのお話です。 

 

 最初に断っておきますが、空手のルーツには諸説あり、さらに言えば古くの沖縄空手の「様々な達人に師事して個人個人の武術を練る」というスタンスにおいては、それぞれの師が真実を語っていても、どうしても口伝が混じって正確な物は伝わらなくなってしまうという要素はあります。 

 

 ごくまれに自流の正当性を妄信して、他流の認識を間違いだと決めつける人もいますが、基本的に自分が教わった事を信じるのは大切ですが、それは他流の否定とは結び付かない物だと理解して、「自分の所にはこう伝わっている、他流ではこう伝わっている」というだけのフラットな見方をすべきです。 

 

 その上で今回の私の記事は個人的な見解であるという事だけは理解してくださいね。 

 

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、ようやく本題です。 

 

 まずはこちらの動画を見てください。 

 

 

 同じ名前の型で動きが違う、という事で紹介されています。 

 

 一見すると動画上で終わりが同じだったくらいの共通点しか見いだせないんですが、私が所属している所のセイサンを知っていると「この流派はこの動きをこう解釈したんだな」という物が見えてきます。 

 

 残念ながら私が所属する空手のセイサンは公式らしいのが見つからなかったので動画は無しです。 

 

 先程「私の所属する所のを知っていると」、と書きましたが語弊がありました。 

 

 どちらの流派でも、用法を理解した上で見れば分かるのかもしれません。 

 

 さて、この動画で登場している少林流は首里手に分類され、剛柔流は那覇手に分類されるというのが通説です。 

 

 過去の記事にも少し書きましたが、この二系統は最初に習う型がナイハンチかサンチン(三戦)かで分かれているとも言えます。 

 

 前回の記事ではセイサンが大元にあり、その中から基礎要素の抽出の仕方が違うため基本の型が2系統生まれたのではないかという話をしました。 

 

 因みにサンチンに関しては中国にルーツがあるという説が今の所有力視されているので、セイサンから基礎要素を抜き出すときに、中国のサンチンの原型が影響した可能性はあるかなと考えています。 

 

 話が逸れたので戻しますと、ナイハンチとサンチンには大きく「動きの方向」で横と縦の違いが見受けられますが、それに隠れて見落としがちなのが「足幅の違い」というものもあります。 

 

 ナイハンチ立ちは比較的足幅が広めで、サンチン立ちは身体の締めの関係もあるのか、足は狭いです。 

 

 その観点で流派の違いが現れると考えれば、一動作目の動きの違いが少林流の方はスタンスが広め、かつ少しナイハンチ的な横移動が混じった半身の踏み出しになり、剛柔流はサンチンの移動(正しく習えばセイサンで立ち方に違いがあるかもしれません)となっており、どちらも基礎に則った動きから始まると言えます。 

 

 また、振り返る直前の動作ですが、私の習ったセイサンは相手の帯を掴んで引き寄せながら蹴る動きですが、少林流は恐らく襟辺りを掴んで引き倒す動きになっているように思えます。 

 

 剛柔流に関してはモーションが私が習った物に近いですが、三回連続の移動に変わっています。 

 

 ここに関しては、仮に私が習った帯を掴んで引き寄せながらの蹴りと同一だと仮定すると、最も難易度の高い部分を繰り返し行う意図があるのかもしれません。 

 

 その他も…と続けようと思ったのですが、それ以降は私自身がまだ用法を理解しきれていない所があるので、「だいたいここが同じ動きの解釈違いだろうな」という感覚はあるのですが、まだ言葉にしきれない所があります。 

 

 ただ、今回の記事のように一見違う物を紐づけるという思考は、抽象化した要素をフレームを変えて見るという事で出来ます。 

 

 これが出来る様になると、分析力が格段に上がるのでまずは好きなジャンルから練習してみる事をお勧めします。