今回はライフハック的にどの分野にも役立つマインドセットのお話です。テーマは自分を観察すること、意外と見えないものなんです、自分のことって。
敵を知り己を知れば百戦危うからず
という言葉知っていますか?孫氏と呼ばれる兵法書の一節だそうです。そこまで詳しくなくともフレーズくらいは聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
因みに日本ではこの言葉で広まっていますが本当は「彼を知り己を知れば、百戦殆うからず」と微妙な違いがあります。
そこの細かな言葉の違いは別としてこの格言は一部分だということをご存知でしょうか?相手と自分を知れば負けないなのでどこまで知っているかでパターン分けされるんですね。全部書くと以下のようになります。
彼を知り己を知れば、百戦殆うからず
彼を知らずして己を知れば 一勝一負す
彼を知らず 己を知らざれば 戦う毎に必ず殆し
相手を理解し自分を理解していれば絶対勝てる。相手を理解していなくても、自分を理解できれば五分五分の勝率。相手も分からず自分も理解できていなければ戦うたびに負けるということです。殆ういは危ういとほぼ同義ですが、文脈的にはもう負けていると見て良いらしいです。
出典は兵法書ではありますが、これは現代でもビジネスや人間関係等の目標設定と達成の道筋を決めるにあたって非常に大事な考えです。
相手は現実の人でも良いですし、仕事や趣味の目標をここでいう「彼」に見立てても良いでしょう。その上で相手と自分を理解した上で事に挑めば必ず望んだ結果を得られるという事ですね。
ただ、実はこの格言には気をつけなくてはいけないポイントがあります。
それは想像している以上に自分自身を理解する事のハードルが高いことを認識しておくことです。
特に格言の最も有名な「彼を知り〜」の部分しか知らない人は要注意です。何が起こるかと言うと自分の理解を深める前に相手の分析だけ進めてしまうというドツボにハマる可能性があります。
え?と思う人は多いかなと思います。なんとなく自分のことは自分がよくわかりそうなものだからです。
例えば身体操作の意識、私で言えば空手やコントラバスの演奏等を通して身体を動かす際に、厳密にやればやるほど身体をどう感じてどう動かすかという事を把握できない事が分かるので自分の見えなさはそれなりに実感があります。
他に分りやすい例を挙げるとするなら体調でしょうか。特に最近急に寒くなりましたね。気付いたら寒さで身体が縮こまって肩や首が凝っていたり、寒暖差で体調を崩しているようなことはありませんか?
そういった時に、特に肩首等の凝りのような症状だと徐々に進行するので気づけばかなり酷くなっていたということも多いはずです。
私は肩こりが酷いほうですが、寝るときなどに気付いたら肩周りがこわばっていて、意識して緩めてもしばらくするとまた戻っているような事がよくあります。
こういった実際に肩が痛い等の症状であればまだ分りやすい方で、感情や仕事に対するモチベーション等精神的な活動の変化はより分かりづらいものです。
気付いたらSNSをずっと見ているというようなことはありませんか?妙に虫の居所が悪いときがあった時、その原因まで思考が及びますか?
このように実は意外と自分自身を理解しきることは難しいのです。孫氏の言葉によれば相手が分からずとも自分を理解すれば勝率は五分五分だとのことですが、そもそも相手が相手自身のことを理解できているかが怪しいわけです。
そう考えると実は自分を理解するだけで勝負に限らず目標達成に向けた歩みでも相当上位に食い込めるんですね。
敵を知ることも大事ですがまずはきちんと自分自身を理解する事が大事です。足元を固めることから始めましょう。
自分を理解するために必要なことは自分をフラットな視点で観察することです。
とりあえずは体調とメンタルから、気付いた時に自分を観察するようにしましょう。
調子はどうか、良くても悪くても理由までしっかりと考えるんです。最初はマメに自分に語りかけるようにして後々に自然と自分を観察できるようにしましょう。
自分を理解して正確にコントロール出来るようになるだけでもとても快適に生きられるようになります。皆さんも試しに自分への語りかけを習慣づけてください。