先日の演奏会で楽器の奏法に関して、定着したかは置いておいて進歩がありました。これを機に弦楽器の鳴り方の原理を整理しておこうと思います。

 

 コントラバスに限らず弦楽器全般の共通項を説明いたしますので、他の楽器をやっている方や、これから弦楽器を始めたい方全般にお役立ち情報になると思います。

 

 今回テーマに上げる弦楽器はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスを一括とした擦弦楽器というグループになります。

 

 厳密な話をすると擦弦楽器にはヴァイオリン属ヴィオール属等の細かい分類もあり、私が演奏するコントラバスは起源がヴィオール属にあるがヴァイオリン属に吸収される形で進化して…という話になるのですがそこらへんは鳴らし方には直接関わらないので今回は扱いません。

 

 擦弦楽器は「擦る」という漢字が入っていることから分かる通り、弓という道具にある馬の毛の部分で弦を擦って音を鳴らします

 

 一応擦弦楽器にもピッツィカートと呼ばれる、簡単に言えばギターなどのように指ではじく奏法もありますが基本は弓弾きです。

 

 ミクロの視点で見ると、馬の「毛」にあるキューティクルが弦との摩擦を生み、引っかかりと開放が起こり音が鳴ります。

 

 ただ、流石に馬の毛のキューティクルだけでは充分な摩擦を得られないため、松脂を弓毛に塗ることで摩擦力を上げて演奏することになります。

 

 そしてこの松脂を塗る量というのが非常に難しかったりします。松脂そのものの粘性と塗る分量はプロの奏者でも好みの状態の差が大きいようで、明確な目安が有りません。

 

 簡単に考えると粘性の松脂を塗りたくれば引っ掛かりが良くなりそうなものですが、逆に引っかかりすぎると音にノイズが混じることもあります。

 

 さらに厄介なのが先程説明した原理では摩擦力を上げるため=引っかかりやすくするためという認識になりやすいですが、必ずしもそうとは限らないのです。

 

 松脂というものは塗りすぎると層のように弓毛にへばりつき、かえって引っかかりにくくなることも多いのです。

 

 弓毛が弦に引っかからないという一つの現象が、松脂の量が多すぎる・少なすぎるの正反対のパターンで起こってしまうのです。

 

 正直な所どちらが原因で引っかからないか判別するのも中々至難の業です。

 

 この問題から抜け出すためには、松脂だけに頼らないということも大切になってきます。弓毛と弦の引っ掛かりは松脂だけではなく、力の入れ具合や弓のスピードや角度等様々な要素が絡む事象だからです。

 

 先程プロでも松脂の粘性と量の好みは違うと言いましたが、それもそれぞれの奏者の奏法に合わせた松脂の量があるというように考えるべきなのです。

 

 因みに前回の記事で名前を挙げたゲイリー・カーはインタビューの中で松脂はほとんど塗らないと言っています。

 

 しかしとてもそうとは思えないグリップ感ある力強い演奏をしています。

 

 

 現在の私の認識は松脂はあまり粘性の高いものを使わずにそして、コントラバスという大きな楽器であっても力はかけすぎない様に弾くというのが最もよく鳴らせる奏法だと考えています。

 

 ここから大きく変わるというよりは細かい分析が増えていく形になると思いますが、研究を続けていこうと思います。