以前からちょこちょことコロナ禍とアマチュアオーケストラの話は記事に挙げていましたが、ついに本番を迎える事となりました。 

 

 基本的に私は最近運営に深く携わっている団体が無いので練習面での変化しか気付けていなかったのですが、いよいよ本番が迫ったことで当日の運営面でもコロナ禍以前と大きく変わったなと思う事が多くありました。 

 

 そういった変化は、裏を返せばコロナ禍という大きな淘汰圧がかからなければ起きなかったとも言えるような気もします。良く言えばいざという時の適応力があるとも言えますし、悪く言えば腰が重くて大きな事が起こるまで変われないとも言えるかもしれませんね。 

 

 今回はオーケストラの運営の変化から見る人の適応力のお話です。 

 

 運営と大きく括りましたがその中でもチケットの扱いについて変化が著しいなと感じました。まずはコロナ禍以前のお話をします。 

 

 まず初めにざっくりと演奏会の座席のルールとしては大きく二つ指定席制と自由席制があります。 

 

 コロナ禍以前の指定席制は主にプロのオーケストラやアマチュアでもトップクラスの実力を持つ団体しか行っていませんでした。 

 

 理由は様々ありますが大きな理由としては、単純に集客力が大きすぎると会場のキャパシティを超えてしまう事が考えられます。ある程度演奏会に足を運ぶ層が決まっているという事も言えるでしょう。 

 

  

 一般的な学生オケやアマオケは自由席にしていることが多いです。これにも幾つか要因があります。流石に集客力においてプロを超えるのは難しいですし、自由席にしてチケットを大量に用意して色々な人に配ってそのうち何人かが来てくれれば良し。というスタンスの方が奏者の友人や職場の人等に気軽に配りやすいといった事もあります。 

  

 学生オケやアマオケがあまり指定席を採らない理由には管理の煩雑さという点も挙げられます。学業や仕事が他にある上でいつ来るか予測のつかない申し込みの対応をする事も負担ですが、お客様毎に席位置の管理をするのも一つ間違えばトラブルに発展しかねません。

 

 当日もチケットの処理や席の案内などの人員を多く割かなくてはならないので、単純なマンパワーとノウハウが要求されるのです。

 

 因みにですが、団体の規模に関わらず演奏会の会場によっては決まりとして指定席にしないといけない会場もあります。混雑によって緊急時の対処が遅れるなどといったことを防ぐためです。

 

 私の母校でも過去に二回、記念演奏会でホールの条件として指定席を求められたことがありました。普段は自由席で行っていることもあり、ノウハウの蓄積は無いに等しかったため、チケット関連の業務が例年以上に大変な事になっていた記憶があります。

 

 最後に私が運営に絡んだ団体の演奏会でもチケットを指定席制にするか自由席制にするかで大もめにもめたので正直その辺りは大変そうなイメージが根付いています。

 

 しかし、コロナ禍で演奏会が開けなくなり、その後に対策を講じた上で演奏会を開けるようになった事で状況は一変しました。

 

 今回私が参加する演奏会3つは全て指定席制です。他に見かける演奏会においても多くが入場料0円でも指定席制を採るようになっています。

 

 ソーシャルディスタンスを保つためと万が一クラスターが発生した時に追跡が出来るように管理が徹底されたのです。

 

 ノウハウがあろうがなかろうが、演奏会を成立させるためには今までやらなかった事にも挑戦という感覚ではなく必要事項として取り組む必要がありますし、それは決して不可能な事では無いのです。

 

 これによって集客がどうなるかは分かりません。元よりコロナの影響とチケットの制度の変更がどの様に作用するかが予測できないからです。

 

 しかしこの変化がコロナが起きなければ今後暫くは起きなかっただろうという事は言えます。

 

 自由席制でチケットを配るということは、ある意味手当たりしだいに数を撃てるというメリットでもあるので、当たれる人数が減るという指定席制のデメリットを超えて制度を変更するというようには中々成りづらいためです。

 

 しかし、コロナ禍によって一種の淘汰圧がかかったことで一気に指定席制に踏み切る団体が増えた訳ですね。これも一種の適応能力だと思います。

 

 私がこのブログを始めたのは一種の個人レベルでの淘汰圧と時代への適応の為でしたが、同じような事は集団でも起こり、かつそれが出来ない者ほど苦境に立たされます。

 

 難しいと思えることでもせざるを得なくなると案外やってのける物です。変化を恐れずに行きましょう。