タイトルが指導者だ教え子だ大げさになりましたが、高校の部活の練習を見に行っただけです(笑)丁度いい単語が見つからなかったもので。
さて前回、前々回と後輩がどれほの苦境に立たされているかの想像上の解説をしていましたが、実際の所どんなものかを答え合わせしに行きました。
結果としては…やはり中々に苦戦していましたね。私が現役の高校生だった頃よりも練習時間は圧倒的に減っていますし、その中でも雑務等に追われてさらに練習時間が削られていたようです。
とはいえ、本人は自信なさげにしていましたが、最後に練習を見に行った時の基礎練習で見つかった癖は大幅に改善されていていました。やはり若者の成長は早い。
さて私が出した課題についてですが、正直な所及第点と言えるレベルではありませんでした。やはり交響曲というものは難しいものです。
現状の課題としては、どうやら力強く左手を押さえようとするあまり、段々と位置が下ってきてしまう事に有るようでした。しっかりと決まったところを押さえられないため音程がずれて行ってしまうんですね。
これに関しては本当に私が忘れてしまった感覚というか…いや、私も一年目苦しんだなという記憶は有るのですが、ただひたすらに練習することで埋めた要素のため効率の良いアドバイスが出来ないんです。
今となっては弦を押さえるのにそんなに力を入れているつもりは無いのですが、その感覚を伝えるために後輩の手の上から普段の感覚で弦を押さえたら驚かれました。もはや自分の感覚が初心者と大きく乖離している事にも気づけてなかったようです…
その時一番問題に感じたのが、後輩が交響曲をさらうのにかなり苦手意識を持っていそうな事でした。
これは本当に初心者としては無理からぬ事なのです。作曲家も基本的にプロが弾くものとして書いているわけなので最初のうちに行う基礎とは大きな隔たりが有るように感じてしまいます。
その上パートは一人、先導してくれる現役の先輩は居ないとなると身近な見本が居ないとなると何をすれば良いのか分からなくなるのも仕方ありません。
折り悪く今回の練習は合奏があり、後輩は「まだ何も弾けるところがない」と合奏が始まるまでは弱音を吐いていました。
とりあえず折角の機会なので、私が曲中のコントラバスの動きは網羅しているから流れの中での見本を見せる。という事で宥め合奏には参加する運びとなりました。
そして合奏中に今回のタイトルの内容を回収する出来事が起きました。
合奏中私は後輩が落ちても演奏を止めずにとりあえず、曲の中での役割を果たす方針で思いっきり弾いて居ました。
その結果ほとんど弾けるところが無いと嘆いていた後輩が要所要所で弾ける部分になったら演奏を復帰するようになったのです。
簡単に書いて有りますが、これは結構大事な要素なんですね。音楽的に自分の居場所を見失ってもその後帰ってくるというのは、楽器をはじめて一年目の頃の私には出来なかった事です。
合奏終了後も自主練では曲中弾けなかった部分の再確認をしていましたが、その段階で左手の押さえの精度が上がっていたのです。
私が想定していた以上の成長をリアルタイムで観測出来ました。そしてこれが教える者の醍醐味だなという事も感じました。
後輩のこれからの成長が楽しみです。