かなり久しぶりの二次創作から磨く抽象化の方法のコーナーです(笑)

 

 今回のテーマは漫画とゲームに見る武士と戦の在り方の変遷とそれに対するストリー付けです。

 

 まずはじめにタイトルに挙げた人物の説明をしておきましょう。

 

 島津豊久は過去に実在した武将でありますが、今回はある漫画に登場する人物を指しています。

 

 その漫画は『ドリフターズ』平野耕太氏が描くバトルアクションファンタジー作品です。

 

 史実に登場する英傑達が異世界に流れ着き、その世界を滅ぼす勢力と存続させる勢力の二つの陣営に分かれて争うという物語です。

 

 あまり核心に触れすぎると読んだ時の楽しみが薄れるのであえてここではチープな説明しかしていませんが、圧倒的な迫力、カッコよさ、痺れる描写は読まなければ伝わりません。そんなに巻数も出ていないので今のうちに読んでみてください。

 

 

 この作品に登場する島津豊久は正に戦に特化したような存在です。一対一の戦闘力だけではなく集団戦での前線指揮能力や味方の戦意向上等、戦に関する事象は本能レベルで最適化されたような立ち回りを見せます。

 

 漫画でも描写されていますがこの人物を語る上で欠かせないのが島津の退き口という関ケ原の戦いで起こったとされる一幕です。

 

 敵陣において孤立した島津の一軍は当主である義弘を逃がすための撤退戦を開始します。敵前衛を正面突破して

 

 豊久は伯父を逃す為に追撃する敵部隊を死力を尽くして足止めします。正しく捨て身、鬼神の様な戦いぶりでボロボロになりながらも敵将をあと一歩まで追い詰めますが、敵兵に囲まれ深手を負わされます。

 

 命が尽きるその間際に異世界に飛ばされて…と、物語は進むのですがここまででも分かる通り、義に篤くその先の勝利を信じて命を投げ出せる人物です。

 

 次に紹介するのは境井仁、以前紹介したゲーム、Ghost of Tsushimaの主人公です。こちら架空の存在ですが人物像は深く掘り下げられています。

 

 

 

 少年期、対馬の内乱の際に父を目の前で亡くします。その時父を助けられなかった事で心に傷を負いますが、伯父である志村氏に息子同然に育てられ、技量とともに侍としての誉れの心を学びました。 

 そして成長して青年となった仁は対馬に攻め入らんとする蒙古軍を迎え撃つために伯父と共に小茂田浜に赴くのです。 

 物量、見知らぬ兵器、入念に日本の武士を研究した敵、対馬の武士たちは奮戦空しく全滅します。 

 後の島の平定に利があるとの判断で志村氏は捕えられ、気を失っていた仁は夥しい死体の山に紛れたため敵に見つからず辛くも命を拾いました。 

 島民に助けられ目覚めた仁は、一度は単身で敵城に乗り込みますが消耗も激しく再び敗北。大橋から落ちてまたしても辛うじて生き延びます。 

 二度の敗北、身に染みる蒙古の脅威、そして蹂躙される対馬の民。これまで信じてきた誉ある武士の姿で戦うか、民を守るために自らの誇りを失ってでも蒙古を討ち果たすか。苦悩しながらも彼は立ち向かう事をやめなかったのです。 

 誉れある武士の姿、闇に堕した冥人の姿それがこの作品の中の彼の姿です。しかし選ぶ手段は違えども、全ては力なき民のためそのために全てをなげうつのが境井仁という男なのです。 

 二人の紹介で量が多くなったので続きは次回にします。彼らの共通点、相違点、そして武士とは、戦とはそういったことについて考えていきたいと思います。お楽しみに!