前回の記事と順番が前後しているような気がしますが、今後空手についても記事を上げることは多くなると思うので読者の皆様が少しでもストレスなく読めるように空手についての大まかな基礎知識をお伝えしようと思います。私も空手云々言ってる割には大半がネットで集められるような知識です。裏を返せばその辺りの知識を持つだけで私の今後の記事も置いてけぼりになることは無いと思いますので軽い気持ちでお読みください。
※空手の歴史、解釈等は諸説あります。あくまで私の現在の認識であるということをご理解ください。
1.空手の種類
皆さんは空手というとどういった物を思い浮かべるでしょうか?私の世代くらいだとK-1ブーム等が有ったので極真会館や正道会館といったいわゆるフルコンタクト空手が最も有名でした。他の打撃系の格闘技との交流も積極的に行っているので、空手より少し広く、格闘技に興味がある方ならこちらのイメージが強いのではないでしょうか。実際の所、この呼称も現在の様々な流派、会派に分かれた空手の分類の1つです。その試合や、稽古、歴史の観点から簡単にフルコンタクト空手、伝統派空手、沖縄空手(手、琉球古武術)に分けることが出来ます。後ほど少し詳しく説明しますが、成り立ちの順としては沖縄空手(手、琉球古武術)→伝統派空手→フルコンタクト空手と派生していっています。
2.極真空手の創始者は剛柔流?
私の習い始めた空手は上記の分類でいうと沖縄空手に当たるのですが中々に知名度が低いので、比較的有名所から遡る形で説明を進めていきます。極真空手の創始者は大山倍達(おおやまますたつ)と言います。積極的なメディアの露出や、空手バカ一代といった本人を題材にした漫画により絶大な人気を誇り、空手を一躍有名な存在にした人物です。彼は元々松濤館流を経て剛柔流の空手を学び、初期の頃は剛柔流の道場の館長を務めた後に自らの流派を創設しました。この松濤館流や剛柔流というのは沖縄で学んだ拳法を本土へと伝えたとされる伝統派空手の四大流派のうちの1つです。当たり前といえば当たり前ですが極真空手がポンと突然出てきたわけではなく、1つの発展形として生まれたということです。空手には型(形)と呼ばれる身体操作法と鍛錬を兼ねた練習形態がありますが比較的極真空手は組手を重視します。また、試合形式もフルコンタクト空手というジャンル名に示される通り、しっかりと身体に打ち込むスタイルで差別化がされています。
3.伝統派空手四大流派
極真空手を輩出した剛柔流を含む伝統派空手は先述の通り沖縄の拳法を本土へと伝える流れによって生まれたともいえる分類で、しばしばフルコンタクト空手と比較されます。空手という名称が確立されたのも本土への紹介がきっかけとされ、初めは唐手という字が当てられていましたが、後に素手で行う武道としての空手空拳という言葉が用いられたり、空手を最初に本土に持ち込んだ船越義珍が指導にあたり般若心経の空の概念を参考にしたことから空手という名称が一般化したと言われています。
先に少し述べた伝統派空手の四大流派は松濤館流、剛柔流、糸東流、和道流の四つの流派でこの内和道流を除く三つの流派は創始者が沖縄出身で自らが学んだ武術の振興のために本土に渡ってきたという形です。流派という概念も本来の沖縄の拳法には無かったらしいのですが、本土に受け入れやすい形にするために剛柔流と糸東流の祖が名乗るようになったとされています。後に松濤館流となる船越義珍の流れを組む流派は氏の没後、道場の名前をとって呼ばれるようになった物で開祖存命中は流派を名乗っていなかったそうです。
本土以前では流派が無かったと言えどフルコンタクト空手ではあまり重視されなくなった型(形)には各流派共通するものもあれば、全く違うものもあります。ここで違うのが流派の違いではないかとも言われるのですが、こういった違いは各流派の祖となった空手家がついた師によるともされます。松濤館流の祖船越義珍は沖縄にて糸洲安恒と安里安恒に師事し、剛柔流の祖宮城長順は東恩納寛量に師事したとされています。そしての糸東流祖摩文仁賢和は糸洲安恒と東恩納寛量の両名に師事し、二人の師の頭文字をとって流派名としたそうです。
また、糸洲安恒と東恩納寛量の重視した型の違いは空手の地域の違いに関連付けられて解説されることもあります。前者の重視した理合を首里手、後者の重視した型を那覇手とする分類です。首里手は薩摩示現流の影響を受け遠い間合いから素早く一打必倒を目指す理合、那覇手は中国武術の影響が強く至近距離での粘り強い防御と強打を目指す理合とされています。これにもう一つ空手の盛んだった地域の泊で発展した泊手というもので三系統に分かれるという説もあります。この三系統に関しては諸説あり、糸東流に代表されるように系統をまたいだ師への弟子入りも特に問題なく行われていたこともあり、必ずしも絶対的な分類では無さそうです。
4.沖縄空手?
先にも述べた通り空手の発祥の地は沖縄です。文献などが乏しいそうでかつての空手の大家達のコメントより情報を得るしか無いようですが、元々琉球王朝時代よりある土着の武術として「手(方言ではてぃー)」というものがあり、外交上現在の中国から武術の流入も頻繁にあり、それらは「唐手(方言はとぅーでぃー)」と区別されていたそうです。因みにここまで読んでくださった方なら本土に渡るタイミングで空手という名称が出来たならば沖縄空手と言う名称に違和感を覚えると思います。これに関しては、先の四大流派のうちの剛柔流と糸東流に関しては本土に空手を伝えた後も沖縄での空手振興も行ったため、沖縄の方でも名称が定着した様です。
また、空手とせずに琉球古武術、沖縄拳法といった名称もあり徒手空拳だけでなく、武器術や投げ、関節技等のもある総合的な武術として道場を開くところもあります。
5.私がこれから所属する道場
ようやく私が所属することになる道場に関してですが、分類としては先に述べた通り沖縄空手(手、琉球古武術)に当たります。見栄えの良い型をしたり、大会に出て組手をしたりというよりは型の意図を基礎からしっかりと説明し、武器術等を通して身体操作法を学んでいくような形になります。立ち方から始まり重心を理解する所から骨格的に合理的な身体の動かし方を学んで行くことになります。
まだまだ理解の及ばない所も多いですが気付きをこのブログでも紹介していく予定なのでお楽しみにしてください。