以前の記事で片桐仁さんを紹介しましたが、今回はその原点とも言えるラーメンズについてご紹介します。
ラーメンズはコントに定評があるお笑いコンビで独特の世界観で魅せるのが特徴です。いま流行のお笑い〇〇世代でいうと第5世代に当たる?位の頃に活躍していて、当時のネタ見せ番組の爆笑オンエアバトルでは黎明期の立役者と言われ、漫才のますだおかだ、コントのラーメンズと並び称される程でした。
今の若い世代にはピンと来ないかもしれませんが2000年代のweb上のフラッシュアニメ黄金時代にはそのコントが注目され、今の30代前半位の人ならラーメンズを知らなくても「千葉・滋賀・佐賀」と言えば殆どの人が知っているのではないかと思います。
その独特のコントの肝とも言える世界観は当人達曰く日常の中の非日常ではなく非日常の中の日常というコンセプトというものです。王道のボケ、ツッコミではなくお互いにそのコントの中では普通、大真面目、それをこちら側の尺度で見るから面白いというような造りになっています。
ほぼ全て作品が名作と言えますが、その世界観を示すのに最も分かりやすい作品としてラーメンズ第12回公演『ATOM』の最終コント「アトムより」を御覧ください。
※ブログのボリューム上公演の全作品は載せませんが、同公演内のネタが伏線として使われているので可能ならYou Tubeの公式ページより全て見ることをオススメします。
一応ボケとツッコミのようなやり取りもありますが、激しい大げさな物ではなく日常会話の延長のうっかりと訂正のような形です。
また非日常と言えども我々の世界と大きな隔たりがあるわけではなく暮らしの手帳はあったり原節子は居たりとちょっとしたパラレルワールドの様なものかなと思わせておいて最後に伏線を回収する流れが見事だと思います。
また作品の舞台装置の少なさにも気付かれたでしょうか。この作品には二人ともその身一つで登場していますが通常はあっても人が座れる四角い箱?がある程度です。
これはストーリー上にあるべき物を観客の想像力に委ねるためだそうです。皆さんはこの二人がやり取りしている部屋をどの様にイメージしますか?私は高層マンションの上の方の階を想像しました。また部屋の造りも人によって思い描く様は違うのではないでしょうか。同じ舞台を見ていても見る人によって浮かぶ光景は違い、その効果をより得やすい様に舞台上はシンプルに作るということです。
これによって同じコントに見る人それぞれの多様な世界観が生まれるのです。
これは結構コンテンツの楽しみ方として良い在り方なのではないかと思います。ただ表面をなぞるだけではなく、自分の想像力も働かせながら観る。これが出来ると他の方のお笑い、ひいてはエンターテイメント全般の自分の楽しむ幅が広がります。
この記事で興味を持ってくださったら是非ラーメンズの他の作品も鑑賞してみてください。