(以下は個人的な回想で、G5の技術的な・有益な情報は 『何一つ』 ありません)

数年前に安いギターを1本買い、少し広いところに引っ越して、ちょうど良い機会なので、ZOOMのマルチエフェクターG5の中古を買った。2010年代のZOOMのGシリーズの、フラッグシップモデル。



これで本格的にギターを再開できるゾ、という思いと、初めて触るマルチエフェクターのめくるめく世界への驚きとで、入手してから毎日毎晩、触っていた。機能が多くて色んな音が出せて、全く飽きない。
 

G5は、沢山のエフェクターの中から好きなのを選んで組み合わせることが出来て、しかもその外観とアナログな操作性は、まるで単体のエフェクターを並べているかのようで、私のような世代にも全く違和感なく使える。おまけにワウに使える頑丈なペダルも付いている。
音も素晴らしい。



或る晩、飲みながら調子こいてギターを弾いていて、そのうち飲み過ぎて、寝落ちしてしまった。
翌朝(床で)目覚めて、G5を見ると、LED表示が半分くらい点灯したまま、音はウンともスンともいわない状態。
よく見るとG5の表面が濡れている。

・・・・状況から察するに、

私がG5に、お酒※を飲ませてしまった模様。
 ※そのときは多分、ジン。下はイメージ写真です。



まるで、下戸の人に無理やりお酒を飲ませて、
「グェェェェ~~」
と苦しがってる、瀕死の状態である。LED半分点灯はさしずめ、白目をむいた状態だ。

事の重大さに気付き、あわてて電源を切り離して、分解して中を見た。
中身は一見綺麗だが、よく見ると無色透明なお酒(!)が電気回路の各所に浸透していた。

 【このへん、気が動転して作業していたので、写真が1枚もない】

何せ2000年代に入ってからの製品なので、昔の機器と違い、沢山の集積回路を精密な薄いフィーダーで繋げて構成されている、きわめて繊細な造りの製品である。

濡れた状態で通電するとさらに状況を悪くするので、各所をよく拭いて、1日おいて乾いてから、再度通電してみた。が、当然ダメ。諦めきれず数日経ってもう一度通電してみたが、やはりダメだった。

僅かながらも「何か、やれることがあるのでは」と思って開けてみたわけだが、手の施しようがないことを悟り、静かにそのまま蓋を閉じた。

まるで外科医の先生が、開腹してみたが癌が全身に転移しており手の施しようがないので、そのまま閉じた、という、そんな気分である。

G5は1ヶ月しか使っておらず、まだまだ知りたいことが沢山あった。再度G5を入手しようかとも思ったが、結局そうはしなかった。理由は、G5が

「オレのことはもう忘れて、新しい人生を生きろ」

と言っているように見えたからである。短い付き合いだったが、仕方ない。

そのあと、G1FOURを買った。



~3年後~

G5は廃品で捨てるには忍びないので、せめてジャンク屋に持って行こうと思いながら、物置きにほったらかしで、今になってしまった。今回、当時のことをこのブログに記録して、弔いとすることとした。

そういえば、半分くらいしか点灯しないLEDの写真を撮っていなかった。ブログには写真が沢山あったほうがいいから、それを撮って、一緒に載せよう。

物置きから引っ張り出して、電源アダプターを繋いで・・・・



???

LEDが全部点く。
ギターを繋ぎ、ボタンをあちこち操作してみるが、機能はすべて正常のようだ。エフェクターやアンプのシミュレートも、真空管ブースターも。長い時間が経って内部が完全に乾燥したので、復活したのか!!? ゾンビか??

・・・・正直なところ、嬉しいというよりは、何だか少し困った。
G1FOURや他の機材とともに、既に新しい生活に入って、もう3年なのである。

亡くなったと思っていた人が(相棒、友人、元カノ、何でもいいが)、やっと心が癒えた頃に突然目の前に現れた、そんな感じだ。

とはいえ、たった1ヶ月で別れてしまったG5。このあと演奏に使う使わないは別として、この機械がどういうものであるかをもっと知りたい気持ちは、今も変わらずある。

次に引っ越した後は、自室のギター用のスペースを広くして手持ち機材を並べて、各々すぐにいじれるようにするつもり。


その仲間に加えるか。

加えよう。