真空管とトランジスタのハイブリッドディスクリートアンプを作りました。これは真空管のテイストを味わうためのアンプですし、特性の良い半導体アンプとは異なる設計になっています。そのため私が制作する半導体のみのディスクリートアンプと比べてTHD+Nは2桁から3桁以上悪い値になっています。
特性が良いものの方が良いよね!という私と同じ思想の人はこちらをどうぞ。
Zwei Flugel https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12424918829.htm
まとめてあるホームページ https://analogofmagic.web.fc2.com/
クラフトマンのように真空管にはロマンがあるよね!って奇特な方は以下続き…
今回の真空管アンプの設計目標は以下の6点です。
・真空管(サブミニチュア管6418)を使うこと
・音に真空管アンプっぽさを残すこと
・電源はできるだけシンプルに
・入出力が同相であること
・出力は最低でも2Vp-pくらいは振れること
・音質は同種のアンプ以上を目指す
この条件を満たせるよう制作したのがこちら。Alter Flugel VTです。
(調整中のため真空管がソケットに載っていたりします。)
このアンプのTHD+Nと歪波形は以下のようになっています。
THD+N 1kHz 33Ω負荷 A補正なし 400-80kHz
0.5V出力時の出力波形と歪み成分。
歪み成分を見てわかるように歪みの主成分は二次歪みです。今回求めている真空管アンプらしい音のためにはこの歪みが必要だと思います。この歪みは素子に由来する部分もあるとは思うのですが、回路の形に依存する部分も大きいと思います。
また、10kHz矩形波の応答は以下のようになっています。
10kHz 33Ω負荷 上:出力 0.2V/DIV、下:入力 0.1V/DIV
10kHz 0.1uF負荷 上:出力 0.2V/DIV、下:入力 0.1V/DIV
0.1uF単体負荷でも安定です。
この波形からわかるように、このアンプは入出力が同相です。この手のハイブリッドアンプは反転しているものも多いのでこれは結構珍しいかもしれません。
基板サイズと部品数の制約でプリント基板設計はZwei Flugelに劣りますが、その中で可能な限り良い音が出るような形になっています。
電源は006P電池1本とそれぞれのフィラメント用に単四電池を1本×2使用します。フィラメント電源は70時間程度、006P電池は200mAhのもので15時間以上もちます。
電解コンデンサは個体のものと従来からあるコンデンサを混ぜて使っています。本当はすべて通常の電解コンデンサのほうがレトロ感が強くて良いのですが、カップリングは固体コンのほうが良い結果が得られそうなのでこうなっています。
販売するかどうか、その仕方などは未定です。基板単体で欲しい・部品は変えてしまうから部品が付属しなくていいという人もいるみたいなので、私個人としては基板単体を用意してもいいかなと思っています。
オマケ
調整中にこんな特性にしてみたのですが、このときはわざとらしいほど真空管アンプっぽい音が出ました。