実はvier flugelって……最初はもっと部品点数が多い形で設計をしていました。
vier flugel
→https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12405422469.html
でも、今回はある程度しっかりと測定してあるアンプをできるだけ安価に
展開できないかと考え、少し簡略化して部品点数を減らし、一部設計しなおし。
→これにより、はんだ中級者以上ならきっと組みたてられるキットも設定しました。
簡略化により理想から少し離れた部分は間違いなくあります。
それでも多くのヘッドホンアンプよりも良い特性です。
…最近のオーディオアンプは、主要な特性も公開していない場合が多いので、
自分のところで測らないと詳細わからない場合が多いですけど。
※音の感じ方は主観なので、この記事では書きません。
※特性の解説についても後日書きたいと思っています。
もともとはこのようなコンセプトなので、キットの設定もありますが、
完成品のほうがより設計の意図が感じられる音になります。
測定値も曖昧で音も曖昧なヘッドホンアンプに不満を持っている方には良いと思います。
そうでない方には向きません。メーカー製で満足できるならば、それが一番良いでしょうし。
音の方向性などは別の記事で書こうと思っていますが、増幅器は色付けを極力排除する
方向で設計しなければならないと思っています。器(うつわ)ですので。
はんだの種類やはんだづけのクオリティでも音は変わってしまいますし、
部品を変更するとほぼ確実に特性が落ちます。だから電池も指定しています。
そのため、キットを組み立てる行為そのものがしたい!や、
部品を変えて好みの音に調整したい!という目的にも向きません。
一部、変更すると厳密に見たときに特性が良くなる部品はありますが、
それがわかる人はキットなんてきっと買わないでしょう。
ただし、音には好みがあるので、こちらで組み立てる場合は微調整ができるよう、
はんだは数種類用意しています。
たとえば無鉛はんだではSR-37、有鉛はんだではKR-19RMAなどです。
個人的には、本当はこれも決めてしまいたいのですが…。
オーディオアンプの音は数字や波形だけで決まるわけではありません。
一方で、数字や波形が悪いのに音の再現性が良いアンプは存在しえません。
なので、まずは基本に忠実な設計で良好な測定結果を得た上で、
様々な経験やノウハウを駆使して音を詰めていく必要があると考えています。
vier flugelは、せっかく久しぶりにバランス出力アンプを設計するので、
まずはできるだけ振幅を取りたいと思いました。
大きなアンプが能率の悪いヘッドホンを鳴らせるのは当たり前です。
それを小型・軽量で大出力のアンプでできたら、面白いと思うのです。
あとは、歪みは小さく、帯域幅は広く、単四電池4本という比較的低い電圧でも
安定し、電池がそれなりにもち…という条件で設計しました。
シングルエンド出力とバランス出力では電源周りの設計が変わるので、
vier flugelは設計段階でバランス出力専用に絞っています。
※実際は具体的な値を設定して設計しています。
値を決めて設計しても測定しないと意味がないので、実際にできたものも測定して
理論値や設定値と実測値を比較し、ほぼ誤差程度の差であることを確認しています。
利得(ゲイン)と使用している部品の関係で、雑音だけは少し不利になりましたが、
これも極端に多いわけではありません。なお、これもほぼ計算値通りです。
特性についての記事はこちら↓
https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12405424033.html
https://ameblo.jp/analog-of-magic/entry-12405424801.html
vier flugelさんは意外とちゃんと設計していますよ!というお話でした。
私はもともとプリやパワーアンプも設計する人なので、
ヘッドホンアンプは変な界隈だなぁと思っていたりします。もう12年くらい(笑)。
by もみじ