オグリキャップやナリタブライアンが去った後のサクラローレルにマヤノトップガンにマーベラスサンデーという馬たちの時代の後、競馬の質がガラリと変わった印象を受けます。私はそこからの競馬を近代競馬と呼んでいます…。

そんな記憶にも新しい近代競馬時代でどのお馬さんが本当に強くて本当に最強だったのでしょうか?あくまで架空の推理としてお楽しみ下さい。(戦いは1対1のマッチレース形式として考えます)


まず記念すべき第一回目にしていきなり決勝戦?中距離でこの馬に勝てる馬は世界を見渡してもいないと言われ、競走馬としてあきらかに別次元の速さを持っていたサイレンススズカ。これに対するは現役最強馬、そして近代競馬の結晶とまで言われているディープインパクト。果たしてこの結末は…

『 サイレンススズカvsディープインパクト 』

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まずはじめに知らない人もいるかもしれないのでサイレンススズカという馬の強さを軽く分析していきたいと思います。大まかにどんなお馬さんだったのか?というレベルでも把握をしてからどっちが強いのかと考えていくとより一層楽しくなりますね♪

さてさて、そんなサイレンススズカと言えば記録にも記憶に残るレースが数多く、どれも素晴しいパフォーマンスを見せていますが、とにかく強すぎる馬になったのは1998年の中京競馬場で行われた金鯱賞のあの圧倒的大差勝ち。この強さをどんなに言葉で説明しようとしても上手い言葉が見つかりません。最近になって競馬を始めた方でもしこのレースを見た事のない方は、一度はこのレースを見る事をオススメ致します。競馬に対する価値観が変わるかもしれませんよ。

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金鯱賞

1F毎ラップ
12.8-11.2-11.2-11.5-11.4-11.4-12.0-12.4-11.7-12.2

サイレンススズカの走破ラップ
12.8-24.0-35.2-46.7-58.1-69.5-81.5-93.9-105.6-117.8

当日の馬場は朝は渋ったままでダート不良の芝が重。朝は曇り気味だったけど急速に馬場が回復して7R稍重、8Rで良に回復という状態で行われたレースでした。

勝ちタイムは1:57:8秒
上がり3Fは36.3秒
2着馬に付けた差は1.8秒


スタート自体はそんなに速くない馬ですが、その後馬なりで二の脚三の脚でスイスイとハナに立ち、そのままスタスタと軽快に飛ばすサイレンススズカ。これは飛ばすというと語弊が生まれるかもしれませんね。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、カミヒコウキをスイーと飛ばしている感じだと思ってください。ラップタイムを見て既に気づいている方も多いと思いますが、全体的に11秒台の時計多いのが特徴。

注目すべき点は、スタートしてから2F~4Fの600m。この時のラップタイムはなんと33.9秒。この後1Fづつずらして見ていくと3F~5Fが34.1秒。4F~6Fが34.3秒。簡単にまとめると、200m~1200mの1000mの通過タイムは56.7秒。しかも馬なりでのタイム。こんな速さで走られて最後バテるどころか余裕で流す圧勝劇。

並みの逃げ馬と違うのは4F~6Fの中間部の速さ。最初だけ速いお馬さんというのは存在はするけど、そのスピードのまま中間部でもスイスイ行けるというのは、そんなに真剣に走らなくてもこの程度の速さなら無理しなくても走れますよ~っていう余裕と絶対スピードの違いを感じますね。

そしてこのレースの驚きは2着のお馬さんが直線で画面に入ってこないという衝撃。各馬途中から縮まらない差を埋めるのに精一杯で上がりの切れを残せなくなり差が埋まらなかった。2着も1:59:6というタイムなのだから悪くない。正直この速さを追走出来る馬は現在過去含めて存在しないかもしれません。少なくてもサイレンススズカ以後の馬では存在しません。史上最強馬と呼ばれる由縁はこの明らかに違い過ぎる圧倒的な速さが根底にあります。

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ちなみに余談ですが、今と昔の馬場の質はだいぶ変わってきていて、かなり時計の出る馬場が今の競馬場です。よく前が止まらないと感じたり、道中スローだったのに好時計で決まったり、未勝利や500万でも1600やOP級の時計を見かける事があると思います。重賞とほぼ同じタイムで下級戦が行われていたりなんて事もあったりしますね。
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ちなみに余談ですがⅡ、レコードで勝ったり好時計で勝ったりするお馬さんがいたりします。その時に、そのまま額面通り受け取っていいモノなのでしょうか?応えはNOです。いくら時計が速くても他のお馬さんがこぞって同じようなタイムで走っている場合、その時計だけを見て評価する事は出来ません。その馬が強いのではなく、そういう時計で走れるという馬場だったという事になります。仮に1着2着が接線で3着以下が大きく引き離されていた場合は、その2頭が強かったという事になり評価出来ます。
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続いてG1を凌ぐ人気を誇る伝説のG3毎日王冠1998

1F毎ラップ
12.7-11.0-10.9-11.4-11.7-12.1-11.6-11.4-12.1

サイレンススズカの走破ラップ
12.7-23.7-34.6-46.0-57.7-69.8-81.4-92.8-104.9

勝ちタイムは1:44:9
上がり3Fは35.1秒
2着馬に付けた差は0.4秒
斤量59kgを背負っての休み明けレース


ここでも金鯱賞同様に馬なりで先行するサイレンススズカ。今回はグラスワンダーエレルコンドルパサーといった超AAA級馬との対決とあってある程度のマークを受けるも、速さが違いマークにならない。それもそのはずでこの毎日王冠で見せた前半200mから1200mの1000ラップがまた速い。
2F~4Fが33.3秒。3F~5Fが34.0秒。4F~6Fが35.2秒。簡単にまとめると、200m~1200mの1000mの通過タイムは57.1秒。
今回は金鯱賞とは違い東京競馬場というコースという事と天皇賞秋を考えて意識的にちょい抑え気味の競馬。行き切る競馬ではなく最後も脚を伸ばす競馬を試みる。それに王者として新しい世代のトップホースを迎え撃つのに、小細工もいらずただただ普通に走って回ってくるだけの競馬をする。
2着との差は2馬身1/2と大きく引き離せなかったけど、3着以下は5馬身の差を付け、さらにムチも使わず直線流しているだけという点に注目。改めてこの馬の強さを誇示した1戦。
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ちなみに余談ですがⅢ、サイレンススズカを本気で倒しに言ったのは骨折明け+出遅れのグラスワンダー。第3コーナー付近から前を射程圏に入れるように外目から上げていく、そして直線出口で馬体を合わせる一歩手前で失速。このグラスワンダーサイレンススズカを捕らえに行く姿を見て骨折明けなのにイキナリ復活するの??とワクワクした人も多いと思います。結局、5着になるのですが…。そして2着に入ったエルコンドルパサーは道中理想的な好位で折合い無理に捕らえに行くことをせず、自分のタイミングで直線勝負。これでどれだけ差を詰められるかというレースをするけど完敗。
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とにかくサイレンススズカのレースを見て思う事は、『速い!』の一言。
思い過ごしかもしれませんがよく耳にする淡々としたペースで飛ばすというフレーズはこのサイレンススズカから生まれたのではなかったでしょうか?もしかするともっと前からあるのかもしれませんが、私の記憶の中ではここがスタートです。

この馬を知るにはどんなに活字や写真を見たり聞いたりしても、わからないと思います。実際のレースを見て感じるのが一番です。
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第一話『サイレンススズカという馬の速さに魅せられてた女の談話』
第二話『ディープインパクトの最大の武器、馬なりマクリの凄さ』に続く>>