U.W.F.が崩壊する直前の、大阪城ホール大会で流れた音楽は“ゲイリー・ムーア”の『スティル・ガット・ザ・ブルース』だった。
ゲイリーがフェンダーのストラトキャスターで奏でる音と、歌声は哀愁たっぷりに湿っぽく、UWFの崩壊を暗示させて、結果そうなった。

そもそも、藤原さん、前田さん、高田さんと今考えても恐ろしいほど重厚なメンツに、佐山さん、船木さん、鈴木さんらが絡み、常に“壊れ物”のようなUWFはブルースで、その取り扱い注意のブルースは、観るものにカタルシスを喚起させた。

崩壊後はブルースを各々の思想の解釈ですくい大きく広がっていくことになる。
例えば、船木さん、鈴木さんたちは、1stアルバムではブルースだった“ジューダス・プリースト”が後のメタルゴッドとなるように、ブルースをバックグランドにメタリックに解釈し進化しながらも、根底にはブルース特有の哀愁を漂わせていた。

高田さん要するUインターは“エリック・クラプトン”のように、ブルースを上手く大衆が好むポピュリズムと向き合わせたように、大衆に向かい一歩踏みより、リングスの前田さんは、多種多様な音楽へのアプローチを己の哲学で摘出し枠に収まりきらないジミ・ヘンドリックスのように、海外や異種格闘技にネットワークを広げ前田ismを全面に打ち出し、石川さんが率いて、格闘プロレスを展開したバトラーツはデヴィッド・ギルモアのギターのようにいつも泣いていた。

いつも、Uには、そこはかとないブルースが流れていた。

技術力ばかりあげても、とりわけU系は面白くならない。
そこに、イデオロギーを注入して、摩擦係数を引き上げて、仕上げにブルースを流すことでやっとUの色が見えてくる気がする。そして、それでもまだ足りない。

先日のWAVEのインタビューで私が言った「U系は技術だけじゃなく、思想を理解して、それを分解して再構築して抽出するというイデオロギーだ」というような旨を言ったは、練習を積んだだけでは、ただのドライな試合にしかならないと言うことを知っているから。

今回のWAVEのUKで、儚く刹那でそれでいて目を引くような試合にするには、ラ・マン及川が参戦しない中、私がしっかりブルースを流し続けることが出来るのかがポイントかもしれない。

ポール・ロジャースを聴いて、心にたっぷりブルースを貯めておくことにしよう。

24日のNEO川崎大会、27日のWAVE新木場大会、31日のNEO札幌大会、華名ブルースを聴きに是非いらしてください。

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